集中治療の在り方を一変させる「eICU」|遠隔集中治療支援プログラムが昭和大で稼動

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

満武里奈=日経メディカル

 

昭和大学は今春、昭和大学病院と、付属病院の1つである江東豊洲病院の集中治療室に「eICU」と呼ばれるプログラムを導入し、現場の診療をサポートする試みを開始した。

 

ビッグデータを基にしたソフトウェアを用いてICUで優先的に診るべき患者を見極めることで、ICU在室日数を適正化。ICU専門医が限られている現状で、安全に患者を診る体制を構築し始めた。

 


 

4月某日午後、昭和大学病院の遠隔集中治療支援センター「Showa eConnect」に入電を知らせるアラームが鳴り響いた。

 

「はい、こちらeICUです。どうしましたか」

 

「江東豊洲病院ICUの医師Aです。ICUに入院しているBさんですが、術後20日たつにもかかわらず人工呼吸器を離脱できずにいます。アドバイスをもらえますか」

 

支援センターShowa eConnectにいた集中治療専門医のC氏は、患者B氏のデータにすぐさまアクセス。

 

術後20日分の心電図やSpO2血圧などの生体情報のほか、数日前に撮影した胸部X線写真をA氏と確認しながら、30分にわたりディスカッション。離脱できない要因を指摘し、アドバイスした。

 

それから9日後、完全に人工呼吸器を離脱させるに至った(詳しい経過は別掲記事「ケース1」参照)。

 

これは、今年4月に昭和大学病院と昭和大学江東豊洲病院で稼働を開始した「遠隔集中治療支援プログラム(eICU)」を用いた一コマだ。

 

eICUは、昭和大がフィリップス・ジャパンと共同開発しているもの。既に同製品は米国で2003年に発売されており、集中治療室を持つ病院のおよそ15%(約500病院)に導入されている。

 

昭和大学副院長の大嶽浩司氏が2014年、米国の病院に視察に行った際に同プログラムを目の当たりにし、日本の集中治療の未来の形になると確信。今回の共同開発にこぎ着けたという。昭和大学病院への開発導入はアジア初となる。

 

eICUの印象を「暗黙知を数値化したようなもの」と話す昭和大の大獄浩司氏の写真。

 

ビッグデータを基にしたソフトウエアで患者の状態を分析

支援センターShowa eConnectは、昭和大学病院内に設置(写真1)。集中治療専門医1人、看護師1人、医師事務作業補助者1人が常駐している。

 

この支援センターは常時、昭和大学病院内の31床(ICU14床、CCU10床、ER7床)、昭和大学江東豊洲病院内の18床(ICU/CCU13床、ER5床)の患者の生体情報や検査情報をモニタリング。現場からの要請に応じて診断・治療をサポートする役割を果たしている。

 

将来的には昭和大学藤が丘病院と昭和大学横浜市北部病院ともつなぐ予定だ。稼働して3カ月、既に1600人ほどの患者の診療をeICUがサポートしたという。

 

昭和大学病院内に設置された支援センターShowa eConnectの様子

写真1 昭和大学病院内に設置された支援センターShowa eConnectの様子

 

患者のベッドサイドには、患者の状態を見るためのカメラ、ベッドサイドの医師とやり取りするモニターやスピーカー・マイク、モニター画面を1床1台設置することが必要になるが、生体情報モニターはこれまで使用してきたものをそのままネットワークにつなぐだけでよいという(写真2)。

 

ベッドサイドに設置する機器の写真

写真2 ベッドサイドに設置する機器
(提供:フィリップス・ジャパン)

 

支援センターでは、24時間連続的に収集された心電図や血圧、SpO2など、患者の生体情報を遡って確認できるだけでなく、これまで米国などで15年以上かけて収集してきた400万以上の症例データを基に作られたソフトウェア「eCare Manager」で、患者の全身状態を分析することができるのが特徴。

 

呼吸回数や血圧値、心電図などの生体情報や、臨床検査データが悪化すると、アラートを発し、どの患者を優先的に診るべきかを教えてくれる(写真3)。

 

例えば、患者の重症度を示す「Automated Acuity Score」は患者の状態を総合的に判定して数値化し重症度順の患者リストを作成。重症度が高い患者を「赤」で表示する機能を持つ。

 

敗血症の早期発見を促す「Smart Alert Sepsis Prompt」、その時点でICUを退室させた場合の死亡率を示す「DRS(Discharge Readiness Score)」などがある。

 

eCare Managerの画面の様子

写真3 eCare Managerの画面の様子
(提供:フィリップス・ジャパン、※承認前のため拡大写真は非公表)

 

各項目のアルゴリズムは公開されていないが、「これまで医師が経験的に判断してきた第六感の部分を数値化してくれている印象」(昭和大学病院集中治療科科長の小谷透氏)、「暗黙知を数値化したようなもの」(大嶽氏)という。

 

例えば、ICUで人工呼吸器離脱から1週間がたつにもかかわらず、患者の全身状態を示す「Automated Acuity Score」の値が良くない症例があった。

 

患者の視線が定まらない様子で、「直感的に『まだICUで診た方が良さそう』と思われた症例だった」(小谷氏)。

 

データを確認したところ、呼吸回数に振れ幅があり、特に誘引なく頻呼吸になることが1日のうち何度かあったことが確認された。その時点でICUを退室させた場合の死亡率(DRS)が13%と表示されていたことからしばらく滞在を延長して経過観察するよう助言した。

 

4~5日後には意思疎通が改善し、DRSの値も2%に下がったので、ICU退室を決定したという。

 

「一度に50人の重症患者を監視するために、病態の変化を数日間のトレンドで把握し優先順位を決定できる何らかのスクリーニングツールがあれば医師の判断支援になる。eCare Managerが提供してくれる様々な数値情報を参考にすれば、滞在日数の短縮ばかりでなく、延長して監視を続ける判断が容易になり、円滑なICU運営ができると実感している」(小谷氏)。

 

ICUへの新規入室はeICUにもリアルタイムで連絡され、入室手続が行われると自動的にデータ収集が始まる。

 

現場の医師が支援センターに相談したいときに、ベッドサイドのボタンを押すと、支援センターの医師につながる。

 

現場スタッフからの相談に応じて、ICU入室時から収集している患者情報を基にセンターの医師、看護師はそれぞれ現場医師、看護師の診断・治療をサポートする。

 

システムの導入効果は海外で検証済み

eICUの運用ルールは、
(1)現場からの要請があれば(on demand)、

(2)継続したサポートを提供し(continuous)、

(3)予防的な介入を行う(proactive)
――の3つ。

 

センターの医師から現場医師に指示を出すことは原則ない。だが、緊急的なアラートを見逃していると判断した場合は、現場医師に連絡することもあるという。

 

「現場ICUのスタッフは緊急対応もあり、常に患者状態を監視できるわけではない。そこでセンターがユニット全体を監視することで、安心・安全に医療を提供できる」と小谷氏は説明する。

 

例外的に、入室後30~60分時点のみ、状況確認のため、双方向音声画像システムを用いたビデオラウンドをeICUが行うルールとなっている。

 

ただしその場合も、あらかじめ現場スタッフにビデオ接続が通知される。

 

同システムの導入効果は既に海外で検証されており、夜間帯の入院患者の在院死亡率は導入前16.1%だったのに対し12.7%へ、ICU死亡率は12.6%から9.0%へ、在院日数は14.3日から9.6日へ、ICU滞在日数は7.7日から4.6日へという結果が報告されている(Lilly CM,et al.JAMA. 2011;305:2175-83.)。

 

副院長の大嶽氏はこのシステムについて、「エキスパートの能力、知恵を多くの病棟でより生かすシステムだ」と説明する。

 

「日本集中治療学会の認定専門医1400人余りに対し、国内の集中治療病床数は約7000床と、集中治療に熟練した医師が不足している。さらに、複数の合併症を持つ高齢患者など、ICUを必要とする重症患者が増えている。eICUを活用することで、ICU滞在日数の適正化させ、ICUでの治療を必要とする患者をより多く受け入れられるようにしたい」と話す。

 

小谷氏は、「重症例では隠れた臓器機能障害があるもので、ICUで集中監視しないと分からない。だからこそ、まずeICUを用いて患者の状態を見極め、状態の悪い患者に適切に治療介入していくことで、患者は安心・安全な医療を受けられる。一方、監視レベルを落としても大丈夫そうな患者はどんどん一般病棟へ転科させていくことができ、医療の質を上げることができる。『早期回復』は今では当たり前のこと。eICUで重症患者の『早期社会復帰』を目指したい」と話す。

 

「eICUで患者の早期社会復帰を目指したい」と話す昭和大の小谷透氏の写真

 

今後、支援センターの運営体制を変えることも考えている。

 

現状は9~17時体制となっており、まだ24時間体制になっていない。24時間体制を目指して、現在、教育を進めているという。

 

「欧米では日中ではなく、夜間にセンターに人を配置している。こうした点も検討したい」と小谷氏は話している。

 

【ケース1】eICUの集中治療専門医とのやり取りが治療を後押しした症例


<患者背景>
88歳男性。身長150cm、体重51kg。独居。
主訴:下肢の痛み、間歇性跛行

 

精査の結果、腎動脈下の腹部大動脈瘤と閉塞性動脈硬化症(ASO)を昭和大学江東豊洲病院で指摘された。

 

20年前に喉頭癌に対し、根治術・永久気管口造設、半年前に脳梗塞にて入院加療歴がある。COPD(慢性閉塞性肺疾患)と高血圧の治療中であった。

 

術前検査では心機能に問題なし。腎機能ではBUN28.8mg/dL、Cr1.21mg/dL、eGFR43mL/分/1.73m2。その他の血液検査では異常は認められなかった。

 

年齢と背景要因からステントグラフト内挿術が予定され、手術は無事実施された。手術時間は4時間30分。術直後に左下肢の血栓閉塞とDIC(播種性血管内凝固症候群)を発症。この治療経過で大量輸血が必要となり、引き続いて白血球数とCRPの増多があった。

 

一過性に腎機能が低下し、4日後には体重は入院時と比べ10kg増加、全身に浮腫を認め、PaO2/FIO2(P/F)は150~200程度となった。利尿薬が投与され、早期リハビリテーションを開始。術後10日目には歩行訓練が実施できるようになった。13日目には人工呼吸から一旦離脱したが、翌日低酸素血症を呈し再装着となり鎮静が開始された。徐々に興奮とせん妄が見られるようになった。その後人工呼吸器からの離脱が進まず、術後20日目に病状につき相談依頼を受けた。人工呼吸器設定はFIO2は0.5、「CPAP」モードと「SIMV」モードの変更を繰り返していた。体重は術前から5kg増まで改善していた。

 

<eICUによる介入>
本症例はeICUで術直後からフォローしていたが、電子カルテからは人工呼吸離脱が進まない理由を把握しかねていた。術後20日目に担当医であるA氏がeLertボタンでeICUを呼び出し、eICUの当番医師(eMD)に直接相談を依頼した。双方向音声画像システムを利用して、ベッドサイドカンファレンスを行った。

 

eMDはまず現場がどういう点で困っているのか、を重点的に尋ねることから始めた。その結果、高齢、腎機能が一時的に低下し投与した水分が回収できず、体重増加、胸部X線像で特記すべき異常所見は認めないが継続する低酸素イベント(FIO2が50%でSpO2が頻繁に96%以下になる)のために、PEEPやFIO2が下げられないこと、などが分かった。

 

eICUからは、以下の点を助言した。

 

1.水分管理は利尿薬による腎への負担も考え、水分投与量制限で対処すること

 

2.肺には大きな問題はなく、元々の酸素化能がP/F300程度なのでPaO2のゴールは低めに設定してよいこと

 

3.気管切開済みなので抜管操作が不要なため、心配なら呼吸器を外す時間を徐々に延ばしていく方法があること

 

4.SpO2やPaO2だけでなく、本人の呼吸困難感、呼吸数、呼吸不全の臨床症状がないこと、循環の指標なども見ながら総合的に判断すること

 

5.高齢の独居生活者であり、日常生活の自立を最優先目標としてリハビリはやめないこと

 

高齢、入院前の併存疾患、術後に発生した多臓器にわたる機能障害のため通常の術後管理の範囲を超えた困難な状況が続き、チームとして治療方針決定が円滑に行えなかったことも要因の1つであることが分かった。

 

その後、連日、双方向音声ビデオシステムを用いてリハビリや呼吸状態を観察。時に主治医に代わりビデオによる見守りをすることで人工呼吸器からの離脱時間を延ばしていった。術後29日目に人工呼吸を離脱し、酸素療法も不要であった。ICU退室時の6分間歩行距離は300mを超えていた。

 

【ケース2】現場研修医とともに双方向音声ビデオシステムで人工呼吸器を設定した症例


<患者背景>
58歳男性。身長174cm、体重80kg。
主訴:呼吸困難

 

5年前に職場健診で高血糖と高血圧を指摘されたが、退職したため治療は行っていない。5日前より体調不良を自覚し、自宅で静養していた。前日未明より呼吸困難感があり、次第に増強するため昭和大学病院に来院した。

 

外来診察時、胸部画像所見で両側肺の浸潤陰影を認めた。直ちに酸素療法を開始し、血液検査と全身CT検査実施後ICUに入室した。

 

ICU入室後の血液ガスは、高流量酸素療法(FIO21.0)下でpH7.52、PaO2 68mmHg, PaCO2 29mmHg。気管挿管の適応のため、直ちに実施。人工呼吸が開始され、測定呼気1回換気量550~740mL、総呼吸回数28回。SpO2は88%で1時間後のビデオラウンドでも変化がなかった。この時点で現場でもすでにARDS(急性呼吸窮迫症候群)として、肺炎と呼吸不全の治療を開始していた。

 

<eICUによる介入>
本症例はARDS重症例であり、入室後PaO2/FIO2(P/F)が100を超えないことから、eICUでは積極的支援例として現場医師とコンタクトを取ることとなった。主治医と連絡が取れたが夕方まで業務がありICUには行けないため、現場にいる後期研修医を窓口に人工呼吸に関する緊急的な対症療法を行うことになった。

 

<現場医師との双方向通信>
今回はeICUが双方向音声ビデオシステムを立ち上げ、現場医師に連絡した。


以下は現場医師(MD)とeICU医師(eMD)との間で交わされた会話である。

 

eMD:こちらeICUです。酸素化改善が得られないようなのでC先生に連絡し、アドバイスすることになりました。

 

MD:はい、C先生から聞いています。よろしくお願いします。

 

eMD:まず状況確認です。ARDSと考えて治療中で、換気設定はFIO21.0、SIMVモード、22/12cmH2O、吸気時間1.0秒、換気回数15回/分、PSV12cmH2Oで間違いないですか。

 

MD:はい、その通りです。SpO2は85~88%から上がりません。循環はノルアドレナリンで安定しています。

 

eMD:人工呼吸器のディスプレイを一緒に見ましょう。ディスプレイ前に置いてある点滴架台を脇に避けてください。患者は自発呼吸があって総呼吸回数は28回、分時換気量は17Lですね。

 

MD:はい、努力性の吸気を続けています。RASS-3でよく鎮静されているように見えますが苦しそうです。自発呼吸と人工呼吸がうまく同期していないように見えます。トリガーレベルを調整すればいいのでしょうか。

 

eMD:それも選択肢の1つですが、もう1つ大切なことがあります。患者は強い吸気努力を続けていて、肺は血管透過性亢進による肺水腫の状態ですから、呼吸仕事量は著しく増加しています。この状況は直ちに改善する必要があります。そのためにまず一部の自発呼吸を補助するSIMVモードから、全ての自発呼吸を補助するアシストコントロールモードに変更して、呼吸仕事量を人工呼吸器で肩代わりさせましょう。呼吸運動による負荷が減れば酸素需要も減少し、吸気努力の減少が期待できます。呼吸数も少し減って同調性も良くなるでしょう。

 

MD:どうすればいいですか。

 

eMD:画面下の丸いボタンをどれでも押して設定用画面を起動させてください。今はBIPAPが選択されていますね。これをBIPAPアシストに変えてください。

 

MD:これでいいですね。次は何を変更しますか。

 

eMD:ビデオでも確認しました。今回は取りあえずモード変更だけにしましょう。一度に複数の設定を変更すると、どの設定変更が効果的だったか評価が難しくなるので。1時間後に呼吸回数と分時換気量を確認しましょう。


(1時間後、再び接続)

 

eMD:状況はどうですか。

 

MD:心配でずっと見ていましたが、分時換気量はゆっくり減少して、今は14L程度、呼吸数も22回まで低下しました。努力性吸気も少し和らいだように見えます。設定変更してからSpO2は2ポイント上昇して90%になりました。血液ガスを測定しましょうか。

 

eMD:まだ続けて変更するので現時点では必要ありません。酸素化能はSpO2で連続監視しているので十分です。SpO2が90%ならPaO2はいくつですか。

 

MD:だいたい60mmHgです。

 

eMD:そうですね。つまり、生命維持のための最低レベルは確保できたわけです。SIMVは同調性を悪化させ呼吸仕事量を増やすという負の作用があるので、最近では推奨されていません。今回の症例でも確認できましたね。次に何をしましょう?

 

MD:FIO2が1なので下げるためにPEEPを変更します。

 

eMD:その通り。ガイドライン通りですね。今は圧規定式換気なので、PEEPを上げるときには吸気圧もその分だけ増やして、換気圧を保ってください。同時に1回換気量にも注目してください。

 

MD:PEEPを15cmH2Oにしてみます。吸気圧は25になりますね。1回換気量は少し減ってだいたい500mLになりました。SpO2は変わりません。

 

eMD:SpO290%を維持できれば今はいいでしょう。血圧はどうでしょうか。PEEPをあげたので下がってくるかもしれません。

 

MD:血圧は変わりません。

 

eMD:1回換気量はこのままでいいでしょうか。

 

MD:ARDSガイドラインでは肺保護のために実体重ではなく、身長と性別から換算した予測体重当たりの換気量で設定することが推奨されていますが、換算式は覚えていません。

 

eMD:計算では420mLになります。

 

MD:今は時折500mLを超えていますから吸気圧を下げるのでしょうか。

 

eMD:あるいはさらにPEEPを1cmH2O上げてもいいかもしれません。呼吸音を聞いてみてください。左右・上中下肺野・背腹の12カ所に分けて順に聞いてください。

 

MD:両側とも背側の下肺野で肺胞呼吸音は聞こえません。

 

eMD:その部分が虚脱して換気されていない可能性が高いですね。入院時のCTでも背側無気肺がありました。著明な低酸素血症の原因かもしれません。潰れている肺胞に再度ガスを入れて換気できるようにすることをリクルートメントと言います。今、リクルートメントをすべきかもしれませんが、そのためには吸気圧をもっと高く設定したり、腹臥位療法を導入したり、という判断が必要になります。肺保護換気の考え方では、プラトー圧25~30cmH2Oが上限です。つまり、今は上限に近づいているので、ここはA先生ともう一度話し合う必要があります。さっきの設定変更で分時換気量が下がったことの評価をするためにこの辺りで血液ガスを測定してみましょう。PaO2やPaCO2だけでなくpHや乳酸値も見てくださいね。結果はこちらでもフォローしておきます。

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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