無気肺とは・・・
無気肺(むきはい、atelectasis)とは、肺組織が虚脱し肺の中の空気が減少した状態である。アテレクともいう。
原因
無気肺を起こす原因として、単一的な原因によって発症する場合と、いくつかの原因が組み合わさって発症する場合がある。以下にその原因の分類を挙げる。
閉塞性無気肺
閉塞性無気肺は何らかの要因で気管支が狭窄・閉塞した場合に生じる。原因としては、肺門部の扁平上皮がんなどの原発性肺がん、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の粘液栓による気道の閉塞や気道異物などが挙げられる。
受動性無気肺
受動性無気肺は、胸水、気胸、心肥大、縦隔腫瘍など肺疾患以外の病気により末梢肺(含気腔)が圧排されて潰されることで発症する。
圧迫性無気肺
圧迫性無気肺は、肺腫瘍、肺膿腫などの疾患が関与している。このような肺疾患によって末梢肺(含気腔)が圧迫され、潰されてしまうことで発症する。
粘着性無気肺
粘着性無気肺は、ARDS※、肺水腫などの疾患が関与している。 肺胞の表面活性物質が減少することによって、末梢肺(含気腔)の容積が減少して無気肺を発症する。
※ARDS:ARDSは、急性呼吸促迫症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome)の略語で、単一の病気ではなく、さまざまな原因によって生じる症候群である。
術後無気肺
外科的手術によって術後早期に発症することがある。原因としては、麻酔による呼吸抑制や、術中の長時間同一の体位をとり続けたことによって、気管支に気道内分泌物が貯留し、気管支が閉塞してしまうことが挙げられる。
症状
無気肺の状態では、気管・気管支が粘液や異物、または機械的な圧迫により閉塞され換気を行えないため、肺胞内へ新しい空気が送り込まれず、肺が萎んでしまう。
閉塞性無気肺では急速に気道閉塞する場合には胸痛、呼吸困難、低酸素血症などの症状が認められることがあるが、気道狭窄が緩徐に進行する場合には無症状で、画像検査で初めて発見されることも少なくない。
診断
胸部X線写真やCTなどの画像所見で診断される。
治療
無気肺を引き起こしている原因の除去が必要となる。