キャリアとは・・・
キャリア(きゃりあ、disease carrier)とは、病原性のあるウイルスに感染しながら、その後発症することなく、持続的に感染している状態にある人のことを指す。
具体例
B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルスでは、感染者のうち90%以上がHBe抗原陽性の無症候性キャリアになる。その内の85~90%はHBe抗原が消失し、HBe抗体が産生(セロコンバージョン)され、ほとんどの場合は無症候性キャリアのまま経過するとされる。ただし、セロコンバージョンは完全にウイルスが排除されたわけではなく、まれに慢性肝炎や肝がんに進むこともあるため、定期的なフォローが必要である。残りの約10%の無症候性キャリアは、慢性肝炎へと移行し、肝硬変や肝がんを発症することがある。
C型肝炎ウイルス
C型肝炎ウイルスでは、感染者のうち約70%がC型肝炎ウイルスキャリアとなり、その後慢性肝炎になる人も多く、徐々に肝臓の線維化が進行し、それとともに発がんのリスクが上昇する。感染から平均20~40年の経過で、肝硬変や肝がんを発症するとされている。なお、全てのC型肝炎患者は、抗ウイルス治療の対象となるため、専門家への紹介が必要とされる。
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)では、感染しても約95%の人が生涯を通じて発症することがないとされている。残りの約5%が、成人T細胞白血病、HTLV-1関連脊髄症、HTLV-1関連ブドウ膜炎などを発症する。