肝臓とは・・・
肝臓(かんぞう、liver)とは、主に体内の代謝に関わっている腹腔内臓器である。栄養の分解・合成、貯蔵、消化酵素の分泌、解毒などを行う働きがある。
解剖
肝臓は、腹腔の右上に位置し横隔膜に接して肋骨弓に隠れるように存在する。成人では1,000~1,500g程度の重量がある。肝臓に流入する血管は肝動脈と門脈の2つがあり、全血流量の70%程度が門脈血、30%程度が肝動脈から流入する(図1)。
図1肝臓
肝臓は門脈の分枝を元にS1-S8の区域に分類され、これをクイノー(Couinaud)の肝区域分類と呼ぶ。機能的にはS1-S4を左葉、S5-S8を右葉と分類し、左葉はさらに内側区域(S1+S4)と外側区域(S2+S3)、右葉は前区域(S5+S8)と後区域(S6+S7)に分けられる(図2、図3)。
図2クイノーの肝区域分類(1)
図3クイノーの肝区域分類(2)
生理
肝臓は三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質の他にビリルビンやビタミン、毒物などの代謝に関わっている。
糖代謝としては、腸管から運ばれたブドウ糖(グルコース)をグリコーゲンとして貯蔵し、必要に応じてブドウ糖へ再合成して血液に供給する役割を果たす。
タンパク代謝は、アミノ酸を合成・分解し、アルブミンや凝固因子などに合成する働きがある。さらに、合成過程で出たアンモニアを尿素へと分解し無毒化した上で尿中へ排泄する機能も有する。
脂質代謝は、脂肪酸やグリセリンを合成してコレステロールや胆汁へと作り替える。
その他、間接ビリルビンを直接ビリルビンに変換する作用や、ビタミンDの活性化、毒物や薬物の不活化・無毒化などにも関与しているなど、様々な機能を有している。