脳梗塞とは・・・
脳梗塞(のうこうそく・CI・cerebral infarction)とは、脳動脈の狭窄や閉塞により灌流域の虚血が起こり、脳組織が壊死に陥る疾患である。障害部位によりさまざまな局所所見をきたし、片麻痺や感覚障害、構音障害、失語、失認などの皮質症状や意識障害が見られる。
脳梗塞は、脳血管疾患死亡数の半数以上を占める。2016年の国民生活基礎調査によると、脳血管疾患は高齢者の寝たきり(要介護5)の原因の第1位である。
臨床病型
アテローム血栓性脳梗塞(34%)
・比較的大きな脳動脈のアテローム硬化による狭窄・閉塞で生じる
心原性脳梗塞(27%)
・心臓内血栓や心臓を経由する塞栓子による脳動脈の閉塞で生じる
ラクナ梗塞(32%)
・細い穿通枝の閉塞で生じる
超急性期では、頭部CT画像は正常なことが多く、広範な脳梗塞では発症数時間以内にearly CT sign(レンズ核陰影の不明瞭化、島皮質の不明瞭化、皮質・髄質境界の不明瞭化、脳溝の消失、hyperdense MCA signなど)と呼ばれる所見が見られることがある。発症24時間以降は低吸収域となる。頭部 MRI拡散強調画像が、超急性期から高信号となるため早期発見に有効である。
治療
治療は最終無事確認を行い、発症4.5時間以内であれば、適応基準に従ってrt-PA(recombinant tissue-type plasminogen activator:遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター)を、発症6時間以内なら血管内治療を考慮する。その他、急性期の治療薬として、脳保護療法(エダラボン)や抗血小板療法(オザグレルナトリウム、アスピリンなど)、抗凝固療法(アルガトロバン)などあげられる。
慢性期には、再発予防のために、高血圧や糖尿病、脂質異常症、禁煙といった危険因子の管理や、抗血栓療法(アテローム性脳梗塞やラクナ梗塞には抗血小板療法、心原性には抗凝固療法)、外科的治療(内頸動脈内膜剥離術、内頸動脈ステント留置など)が行われる。また合併症や後遺症の軽減のためリハビリテーションが進められる。