最終更新日 2018/01/23

脂質異常症

脂質異常症とは・・・

脂質異常症(ししついじょうしょう/DL/dyslipidemia)とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪(トリグリセライド)のいずれかが基準値より高いか、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準値より低い状態のことである。

 

診断基準

・LDLコレステロール140mg/dl以上
・中性脂肪150mg/dl以上
・HDLコレステロール40mg/dl未満

 

コレステロールには、主としてLDLコレステロールとHDLコレステロールがある。LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれており、肝臓から全身の細胞へコレステロールを運ぶ働きをしている。LDLコレステロールが上昇するとコレステロールの血管壁への沈着を促進させ、血管壁のアテローム形成を増長し、動脈硬化が進行する。HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれており、血管壁に付着する余分なコレステロールを取り除いて、肝臓へ運ぶ作用がある。HDLコレステロールの低値は、動脈硬化を進行させる。

 

コレステロールは、脂肪の消化を助ける胆汁酸や各種ホルモンを作り出す材料となる。中性脂肪は、全身に分布している脂肪細胞や筋細胞に貯蔵、またはエネルギーとして利用される。中性脂肪が過剰になると、血管の動脈硬化が進行する。

 

発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが関係しているといわれている。また遺伝的な要因によって起こる家族性高コレステロール血症と呼ばれているものもある。

 

脂質異常症をそのままにしておくと、動脈硬化が進行する。その結果、虚血性心疾患(狭心症心筋梗塞)、血管障害(脳梗塞、脳出血)、下肢閉塞性動脈硬化症など生命にかかわる病気を引き起こす危険性が高くなる。

 

治療は、まず生活習慣の改善(禁煙、食事療法、運動療法、飲酒量の見直し)が基本である。生活習慣の改善で不十分な場合には、薬物療法を考慮する。

 

脂質異常症では、総コレステロールを予防や治療の基準にしていない。LDLコレステロールはFriedewaldの式(LDLコレステロール=総コレステロール-HDLコレステロール-中性脂肪×1/5)で計算する。ただし中性脂肪が400mg/dl以上の場合は直接測定法で計算する。

執筆: 勝呂俊昭

菊名記念病院 総合診療科医長

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