最終更新日 2018/07/09

喫煙

喫煙とは・・・

喫煙(きつえん/smoking)とは、タバコの葉など、なんらかの物質に火をつけたり、加熱したりして、発生する煙を吸引する行為をさす。一般的にはタバコの葉を用いた手技のことであるが、大麻やハーブなどを用いる行為も含むことがある。
タバコ喫煙の歴史は古く、7~8世紀に発展したマヤ文明の遺産に、たばこ様のものを使用している姿が描かれており、長らくアメリカ大陸において嗜好品として親しまれていた。その後、コロンブスのアメリカ大陸発見と大航海時代の人々の移動とともに、全世界へ広がっていき、その後一大産業へと発展した。
しかし現在では、健康被害の観点から、紙タバコ、手巻きタバコなどの喫煙はもちろん、噛みタバコ、嗅ぎタバコの使用を含めて、問題視されている。
なお、最近では電子タバコが欧米を中心に急速に普及してきているが、電子タバコにより喫煙の健康被害が減弱したり、喫煙率が減少したりするといった確固たるデータはない。国際結核肺疾患予防連合(International Union against Tuberculosis and Lung Disease)や日本呼吸器学会は電子タバコの使用に反対的な立場をとっている。

【健康被害】
WHO(世界保健機関/World Health Organization)によると、タバコの使用は悪性腫瘍、肺疾患、心血管疾患の主要な危険因子とみなされている。そのため、多くの国でタバコの広告や購入、使用、喫煙場所の制限がなされている。
また、直接喫煙していなくとも、他の喫煙者から出る煙を吸引してしまう受動喫煙も問題となっている。喫煙者と暮らすことにより、発がん率が女性では20%、男性では30%増加する。また、職場における受動喫煙により、肺癌罹患率が16~19%増加する。
さらに、全世界において50%を超える子どもが受動喫煙にさらされており、それらにより下気道感染や中耳炎の危険性が増加し、喘息発作の回数や重症度が悪化するとされる。また、乳幼児突然死症候群とも関連があるとされる。

【禁煙外来】
禁煙に対する医療者の介入としては、主に外来による禁煙指導と薬物療法がある。薬物療法としては、ニコチンパッチ、ニコチンガム、ニコチンを含まない内服薬が含まれるが、ニコチンガムには保険適応はない。平成18年度のニコチン依存症管理料算定保険医療機関の調査報告によると、禁煙外来による1年後禁煙成功率は28.6%であった。

執筆: 瀬尾龍太郎

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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