最終更新日 2019/03/01

基準値

基準値とは・・・

基準値(きじゅんち、reference value)とは、検査において基準となる値のことである。基準範囲とも言われている。

 

成り立ち

以前は「正常値」・「正常範囲」という用語が使われていたが、「正常値」という表現であるとその値の範囲にあれば正常であって病気がないと考えられ得ること、逆にその値の範囲から外れると『異常』であると認識され得る可能性があることから、表現が妥当でないと考えられ、「基準値」という用語が新たに採用された。その後、検査値の基準となり得る値はある一定の幅があることから、「基準範囲」(reference interval)という言葉が国際的に使用される用語となった。

 

種類

(1)一般的な設定

基準範囲の一般的な設定方法としては、健常者でかつ運動ストレス、食事、飲酒、喫煙などの変動因子が許容限度内の個体(基準個体)から得られた検体で測定し、その測定値の分布曲線から、「平均値±2×標準偏差」(中央値を含む95.5%が含まれる)の範囲を基準範囲とする。これは、95%信頼区間に相当する。しかし、各団体・施設などで基準範囲の設定方法、すなわち、対象健常者(基準個体)の選定基準、検査方法、計算方法などが異なるなどの問題がある。

(2)共用基準範囲

2014年に日本臨床検査標準協議会(JCCLS)より日本臨床検査医学会、日本臨床化学会、日本臨床衛生検査技師会、日本検査血液学会の共同で、一般的な臨床検査40項目の基準範囲が「共用基準範囲」として公開された。これらの基準範囲は、国際臨床化学連合と同様の健常者の選定基準、採血条件などを用いた大規模な3調査のデータを統合して作成された。

(3)臨床判断値

健常者を対象とした基準値・基準範囲とは異なる基準値も存在する。これは疫学研究から疾患の診断、治療、予防の判定のために用いられるものとして、各専門学会から公表されている「臨床判断値」である。例えば、日本動脈硬化学会は脂質異常症診断基準(LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、トリグリセライド150mg/dL以上など)を設定している。

 

引用参考文献
1)河合忠.異常値の出るメカニズム.医学書院,7版,2018,279-281.(ISBN9784260032407)

執筆: 浅香葉子

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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