電解質とは・・・
電解質(でんかいしつ)とは、水などの溶媒に溶かしたときに正と負のイオンに分かれること(電離すること)で、その溶液が高い電気伝導性を持つようになる物質のことである。主に、体液(細胞内液や血漿)に溶けて伝導性を持つようになるミネラルイオンのことを指す。
体内の水分量やpH、浸透圧のバランスを保ち、神経伝達および筋肉の運動にも深く関わっている。血液検査および尿検査にて測定することができる。
主な電解質と関連する疾患・状態
ナトリウム(Na)
体内の水分調節に関わる電解質。基準値は138~145mmol/L。
低値・・・腎不全、心不全、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、脱水など
高値・・・脱水、尿崩症、糖尿病、クッシング症候群、アルドステロン症など
カリウム(K)
神経伝達や筋肉の運動に関わる電解質。植物性食品に多く含まれている。
基準値は3.6~4.8mmol/L。
低値・・・嘔吐、下痢、利尿剤の使用、摂食障害、呼吸不全、クッシング症候群など
高値・・・腎不全、糖尿病、アジソン病など
カルシウム(Ca)
骨や歯の形成に関わる電解質。体内のカルシウムの約99%は骨や歯に蓄えられている。
基準値は8.8~10.1mg/dL。
低値・・・副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,急性膵炎,輸血,大酒家(Mg欠乏症)
高値・・・副甲状腺機能亢進症、多発性骨髄腫、サルコイドーシス、悪性腫瘍など
クロール(Cl・塩素)
大部分はナトリウムとともに存在し、水分やpHの調節に関わる。
基準値は101~108 mmol/L。
低値・・・嘔吐、下痢、肺炎、腎障害など
高値・・・過換気症候群、脱水、腎不全など
引用参考文献
1)日本臨床検査標準化協議会(JCCLS).基準範囲共用化委員会.“共用基準範囲”.日本臨床衛生検査技師会.
2)東京大学医学部附属病院検査部. 検査の参考基準値表(平成27年1月改訂)
3)公益財団法人長寿科学振興財団.“カリウムの働きと1日の摂取量”. 健康長寿ネット.
4)内田俊也.水電解質異常.日本腎臓学会誌.44(1),2002,18-28.
5)内海孝信ほか.クッシング症候群/サブクリニカルクッシング症候群.内分泌甲状腺外会誌.33(1),2016,27-31.
6)日本摂食障害学会. AEDレポート2016|第3版<日本語版 > 摂食障害医学的ケアのためのガイド. 2016,p21.
7)吉川雅則ほか. 症候の評価と治療の実際(水・電解質管理)4.呼吸不全患者.日本内科学会雑誌.92(5),2003,770-776.