最終更新日 2018/07/09

腎不全

腎不全とは・・・

腎不全(じんふぜん)とは、腎臓の機能が低下した状態のことを指す。一般的に、腎不全のうち、比較的短期間で顕在化したものを急性腎不全、ある程度の時間を経て腎臓の機能が低下した状態を慢性腎不全という。

 

急性腎不全、慢性腎不全ともに、膨大な数の定義が存在することが21世紀初頭までの問題であった。そのため最近では、それぞれ急性腎傷害、慢性腎臓病という定義が提唱され、明確な診断基準を用いて病期分類を行うことが一般的になっている。

 

急性腎障害(acute kidney injury, AKI)

2018年1月現在、Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)が提唱している定義と病期分類が最も広く用いられている(表1)。これにより、早期に腎機能障害を有する患者群を同定し、早期の介入が可能となった。

 

表1KDIGO診療ガイドラインによるAKI診断基準と病期分類

 

慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)

KDIGOが提唱している定義と重症度分類が通常用いられる(表2、3)。

 

表2慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)の定義

表3慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)の病期分類

 

症状

腎臓の機能には、大きく分けて以下の2つがある。
1.血液中の様々な物質を排泄する
2.水分を排泄する
そのため、腎機能が低下した際には、以下が発生する。
・物質が排泄できないことで、問題が起こる(高カリウム血症、高マグネシウム血症、高リン血症、尿毒症、使用薬剤の血中濃度上昇など)
・水分が排泄できないことで、問題が起こる(浮腫、肺水腫など)
また、特に慢性腎不全では、上記の異常が長期化するため、他の臓器にも影響が出現する。特に、脳梗塞心筋梗塞、下肢潰瘍などの血管病変に伴う病気が問題となる。

 

原因

原因は、以下の2つに分かれる。
・腎臓そのものの病気(糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など)
・それ以外(脱水尿閉など)

 

治療

治療は、大きく以下の2つに分かれる。
・腎臓をさらに悪くしないための治療(原疾患の治療、血圧管理、生活習慣の見直しなど)
・腎臓の機能を手助けする治療(利尿剤や透析など)

執筆: 瀬尾龍太郎

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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