慢性腎臓病とは・・・
慢性腎臓病〈CKD〉(まんせいじんぞうびょう、chronic kidney disease;CKD)とは、何らかの腎障害が慢性的に存在する状態すべてを指す概念である。
「CKD診療ガイド2012」(日本腎臓学会編)において、「腎臓の障害(タンパク尿など)、もしくはGFR(糸球体濾過量)60mL/分/1.73m2未満の腎機能低下が3カ月以上持続するもの」と定義されている。
腎機能障害の例
腎臓の障害の例として、以下のものが挙げられる。
・微量アルブミン尿を含むタンパク尿などの尿異常
・尿沈渣の異常
・片腎や多発性囊胞腎などの画像異常
・血清クレアチニン値上昇などの腎機能低下
・尿細管障害による低カリウム血症などの電解質異常
・腎生検などで(認められる)病理組織検査の異常
GFRで表される腎機能の低下
腎機能低下の程度は、GFRと呼ばれる数値の大小によって示される。GFRを求める検査にはクレアチニン値を年齢と性別で補正計算した推算糸球体ろ過量(eGFR)という方法が用いられる。
GFRの数字によりG1~G5の6つのクラス(G3はG3aとG3b)に分けられる。さらにタンパク尿の程度によりA1~A3の3つのクラスに分けられ、CKDG5A3などと表記してその重症度を表す(数字が大きくなるほど腎機能は低下している)。「慢性腎不全」や「慢性腎機能不全」はおおよそGFRが60mL/分/1.73m2未満(CKDのG3a~G5)に相当する。
定義の目的
慢性腎臓病には、GFRが正常にもかかわらずタンパク尿がみられる場合なども含まれるため、慢性腎不全よりも広い概念であり、より早期に腎疾患を捉えようという目的で提唱された。また、原疾患によっては、慢性腎臓病を生活習慣病の一種としても捉えることができ、減塩や禁煙などの生活指導も重要とされている。