最終更新日 2018/02/21

尿毒症

尿毒症とは・・・

尿毒症(にょうどくしょう、uremia)とは、腎機能の低下により、尿中に排泄されるべき代謝老廃物などが血液の中に蓄積されている状態のことで、さまざまな症状を呈する。

 

原因となる老廃物として、現在までグアニジノコハク酸など90を超える物質が同定されている。慢性腎不全に付随することが多いが、急性腎不全においても起こる。

 

症状

症状としては、下記のように多彩なものがある。
・中枢神経:意識障害、不眠、記憶障害頭痛、混乱、けいれん、しゃっくりなど
・末梢神経:こむらがえり、末梢神経障害、足の不快感など
・消化管:食欲不振、嘔気・嘔吐、腹部膨満など
・肺:呼吸困難、肺水腫、低酸素血症など
心臓・血管:動悸高血圧など
・代謝:カリウム上昇、アシドーシスなど
・眼:視力障害など
・血液:貧血など
皮膚:皮下出血、浮腫、色素沈着、掻痒感など

 

原因と治療

原因としては、腎臓に供給される血流や血圧の低下による腎前性、腎臓そのものの異常による腎性、尿の排出障害による腎後性がある。治療はそれぞれの原因によって異なる。

 

腎前性

腎前性であれば、腎血流、腎灌流圧の確保が重要であり、補液療法や昇圧剤が含まれる。

 

腎性

腎性であれば透析療法や腎移植が行われる。

 

腎後性

腎後性であれば、尿排泄を妨げる原因の除去や、経皮的腎ろう、ステント留置術といったバイパス術、導尿や膀胱留置カテーテル挿入を行う。いずれの原因であっても、重篤である場合(意識障害や高カリウム血症、著明なアシドーシスがあれば)、緊急血液透析の適応を考慮する。

執筆: 瀬尾龍太郎

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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