最終更新日 2018/02/15

嘔吐

嘔吐とは・・・

嘔吐(おうと、vomiting)とはの内容物が口腔に逆流し、体の外へ排出される状態のことである。

 

嘔吐したくなる感覚を悪心または嘔気という。嘔気・嘔吐は何らかの原因によって延髄(えんずい)にある嘔吐中枢が刺激されて起こる。刺激が軽度であれば嘔気、それ以上であれば嘔吐といった症状が出現する。

 

原因

さまざまな原因が考えられるため、随伴症状から嘔吐の原因となる臓器系を絞り込むことが重要である。薬剤の副作用による嘔吐や女性では妊娠の影響も積極的に疑うべきである。

 

頻度の高い疾患等

腸炎胆嚢炎、胆管炎、膵炎、腎盂腎炎、腸閉塞・イレウス、偏頭痛、末梢性めまい、薬剤性、妊娠

 

緊急性の高い疾患

急性心筋梗塞大動脈解離心不全血管障害(クモ膜下出血、脳出血、脳梗塞)、髄膜炎、腸閉塞・イレウス、急性膵炎、急性胆嚢炎、虫垂炎、腎盂腎炎、急性肝炎糖尿病性ケトアシドーシス、副腎不全、薬物中毒、緑内障発作

 

身体への影響

嘔吐によって水分と一緒に胃液・十二指腸液に含まれる電解質も体外に排出されるため、脱水症状や電解質異常症状が出現する。また、嘔吐によって消化・吸収の異常にもつながり栄養状態の低下や体重減少も起こすことがある。ほかに吐物を誤嚥して肺炎や窒息をきたすリスクにもなる。

 

必要な対応

症状が軽度で合併症がない場合は制吐剤を使用して経過観察をする場合も多い。合併症として脱水や電解質異常が出現していないか評価する必要がある。症状が強い場合や持続する場合は採血・腹部CT・上部消化管内視鏡検査などを追加し原因を検索する。

 

代表的な制吐薬

(1)内服
プリンペラン®錠(一般名:メトクロプラミド錠)、ナウゼリン®錠(一般名:ドンペリドン)、ノバミン®錠(一般名:プロクロルペラジン マレイン酸塩)、トラベルミン®配合錠(一般名:ジフェンヒドラミンサリチル酸塩)
(2)注射
プリンペラン®注射液(一般名:塩酸メトクロプラミド)、ノバミン®筋注(プロクロルペラジン マレイン酸塩)、トラベルミン®注(一般名:ジフェンヒドラミン塩酸塩)、アタラックス®-P注射液(一般名:ヒドロキシジン塩酸塩注射液)
(3)その他
ナウゼリン®坐剤(一般名:ドンペリドン)など

執筆: 阿部康弘

羽生総合病院 消化器内科

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