髄膜炎とは・・・
髄膜炎(ずいまくえん、meningitis)とは、髄膜のうち、くも膜、軟膜およびその両者に囲まれているくも膜下腔に炎症が生じたものである。
原因
原因は「感染性」と「非感染性」に分かれる。感染性は細菌性やウイルス性は急性な経過をたどるのに対し、結核性や真菌性は亜急性(数日から数週間)~慢性(1カ月以上)の経過をたどる。非感染性はがん性や膠原病性、薬剤性に分類され亜急性~慢性の経過をたどることが多い。
髄液の染色や培養によって原因菌が特定できない髄膜炎は無菌性髄膜炎といわれ、大半がウイルス性であるため、時々ウイルス性と同義に用いられることもある。
症状
髄膜炎は自覚症状として強い頭痛や嘔気、嘔吐、発熱を伴うことが多く進行するとけいれんや意識障害が生じる。また他覚的所見としては項部硬直(仰臥位の状態で頭部を前屈させると抵抗がある)、ケルニッヒ徴候(仰臥位で股関節と膝関節をそれぞれ90度に屈曲させ保持し、下腿を被動的に伸展させると135度まで伸ばさないのに疼痛が生じる)、ブルジンスキー徴候(仰臥位の状態で頭部を前屈させると、股関節や膝関節が自動的に屈曲する)などの髄膜刺激症状が生じる。
治療
特に注意すべきは細菌性髄膜炎であり、死亡率が10〜30%の致死的疾患であるため、早期発見・早期治療は不可欠である。髄液検査では圧が上昇し、細胞数(多核白血球)上昇、タンパク増加、糖の低下がみられ、髄液培養で確定診断を行う。細菌性髄膜炎は前述したように早期治療が不可欠のため、髄液の細菌培養同定検査の結果を待たずに年齢や免疫能に応じた抗菌薬治療を始めることが必須である。