最終更新日 2018/02/28

胆嚢炎

胆嚢炎とは・・・

胆嚢炎(たんのうえん)は、胆嚢内の胆汁がうっ滞することによって起こる炎症である。経過により急性と慢性に分けられる。

 

急性胆嚢炎とは、胆嚢に生じた急性の炎症性疾患である。90〜95%は、胆嚢結石により生じる。胆石が胆嚢頸部や胆嚢管の出口に詰まることで胆嚢管が閉塞され、二次的に細菌感染が加わり発症する。中高年以上で胆石の既往のある人に好発し、症状としては食後などに起こる右季肋部痛、発熱、悪心、嘔吐などが見られる。

 

診断

急性胆嚢炎では、腹部の診察で、圧痛、Murphy(マーフィー)徴候、肝叩打痛を認める。Murphy徴候とは右季肋部を圧迫しながら患者に深呼吸させると、痛みのために途中で吸気が止まってしまう現象のことをいう。

 

血液検査ではWBC、CRPの上昇を認める。腹部超音波検査や腹部CT検査では、胆嚢壁肥厚、胆嚢腫大、胆泥、嵌頓した胆嚢結石を認める。また、腹部超音波プローブで胆嚢を圧迫すると圧痛を生じる(sonographic Murphy’s sign)。これらの臨床症状、全身の炎症所見、画像所見から急性胆嚢炎と診断する。

 

 

治療

急性胆嚢炎の治療は、原則として胆嚢摘出術を前提として重症度に応じた治療を開始する。臓器障害による全身症状をきたしたものを重症、その危険性のあるものを中等症と位置づけ、それ以外を軽症とする。

 

重症

適切な呼吸、循環管理の後、緊急または早期の胆嚢ドレナージを行い、全身状態が改善してから待機的に胆嚢摘出術を行う。

 

中等症

初期治療や胆嚢ドレナージを行い、その後胆嚢摘出術を行う。胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎は緊急手術の適応となる。

 

軽症

早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術が基本だが、手術リスクが高い場合には基本的初期治療のみで経過観察しても良いとされている。

 

慢性胆嚢炎

一方、慢性胆嚢炎は、細菌感染や胆石による慢性刺激により、胆嚢が萎縮、壁肥厚する病態をいう。症状としては右季肋部痛、上腹部の不快感、鈍痛などが挙げられるがいずれも軽微な事が多く、血液検査でも異常は認めないケースが多い。腹部超音波検査やCT検査で診断し、胆嚢の萎縮、胆嚢壁の全周性肥厚を認める。慢性胆嚢炎が進行すると、胆嚢癌を合併するリスクが上昇する。有症状の場合や胆嚢癌の疑いがある場合は、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行う。

SNSシェア

この単語に関連する記事

用語辞典トップへ