胆嚢とは・・・
胆嚢(たんのう/GB/gallbladder)は、肝臓で生成される胆汁を貯留・濃縮し、放出する器官である。胆道を介して、肝臓と十二指腸(乳頭部)につながっている(図1)。
図1胆嚢
胆嚢は、組織的には粘膜層、固有筋層、漿膜下層、漿膜からなる。他の消化管と異なり、粘膜筋板や粘膜下層を持たないため、癌が漿膜側に進展しやすく、直接浸潤や転移が起こりやすい。粘膜上皮が粘膜固有層や筋層内部まで陥入してできるくぼみをRokitansky-Aschoff洞(ロキタンスキーアショッフどう)といい、それ自体に機能はないが、しばしば細菌の繁殖の場となる。
胆嚢は、一般的に西洋梨のような形をしている。収縮自在であり、長さは10㎝、幅は4㎝程度で、50〜60mlの胆汁を貯えることができる。また、胆汁を通常5〜10倍(最大20倍)に濃縮される。
十二指腸下行部に食物が入ると、コレシストキニンが分泌され、胆嚢が収縮し、同時にOddi括約筋が弛緩することで胆汁が十二指腸に排出される。胆汁は小腸での脂肪の消化、吸収を促進する。
急性胆嚢炎などで胆嚢を摘出すると、胆嚢の貯留、濃縮機能が失われ、一度に多くの脂質を摂取すると消化不良を起こす。ただし、摘出後1ヶ月程で身体が順応するため、臨床的に問題となることはない。