糖尿病看護のキホン|入院から退院までのポイントを解説
執筆:土方ふじ子(東京都済生会中央病院 糖尿病看護認定看護師)
この記事では、糖尿病の患者さんを看護するときに知っておきたい、糖尿病看護の入院から退院までのポイントと、糖尿病の概要・分類・検査データの見方・合併症と観察項目について解説します。
目次
糖尿病看護における看護師の役割
糖尿病看護における看護師の重要な役割は、「患者さんが糖尿病を悪化させずに、無理なく生活していくための支援」です。
そのために看護師がやるべきことは、大きく2点に分けられます。
❶ 患者さんの思いや考え方を理解し、信頼関係を築く
❷ ❶を行ったうえで、退院後の生活の改善方法を、患者さん自身で考え、決められるよう支援する
今回は、別の疾患の治療のために入院し、糖尿病も併せ持っている患者さんを受け持った場合の、入院から退院までの看護介入のポイントを解説します。
糖尿病看護のポイント(入院から退院まで)
糖尿病治療のための生活改善は、医療者が一方的に指導するのではなく、患者さんが自分で考えて決めることで、無理なく継続していけるようになります。
看護師は「患者さんが自分で考えて決めること」を支援する役割として、患者さんにとって「自分ができていないこと、言いづらいことでも、気軽に相談できる存在」となれるような信頼関係を患者さんとのかかわりの中で築いていくことが重要です。
1.入院時
まずは、患者さんの日常生活や価値観、糖尿病に対する考え方や、現在の状態について情報収集を行います。
その後、集めた情報をもとにアセスメントを行い、治療しながら生活していく上で妨げとなる点がないか確認します。
情報収集のポイントは、以下のリストのとおりです。
このチェックリストに基づいて情報収集すると、身体的・心理的・社会的なアセスメントの助けになり、患者さんの全体感を捉えやすくなります。
特に高齢の患者さんでは、身体的にはADLや認知機能の低下がみられる場合もあります。
また、心理的にも糖尿病という病気であることの理解度や、社会的には家族の高齢化など、さまざまな問題が表出しやすくなります。
そのため、高齢の患者さんでは、より慎重に情報収集とアセスメントを行いましょう。
患者さんの思いを理解し、信頼関係を築く
入院時~入院中の患者さんとのかかわりでは「信頼関係を築くこと」が最も重要です。
そのためには、情報収集の中で見えてきた患者さんの思いや考えが、医学的に誤っていたり、治療の妨げとなってしまっていても、否定せず「そう考えているんですね」と理解する姿勢が大切です。
「それは違いますよ」など否定してしまうと、患者さんは正直な思いを伝えづらくなってしまい、改善すべきところに気づけず、必要な支援を提供できなくなってしまいます。
入院時~入院中のかかわりの中で、患者さんとの信頼関係を構築できていると、退院前に行う生活改善目標の設定をスムーズに行えるようになります。
2.入院中
入院中には、インスリン注射や血糖の自己測定が、患者さん自身で正確に実施できているか、以下のリストを参考に確認します。
血糖自己測定やインスリン注射ができているかを確認するときは、患者さんがそれらを実施しているのを直接見てみることが大切です。
特にインスリン注射では、長期にわたって同じ場所に注射を打ち続けることで、皮膚が硬くなってしまう場合もあります。
硬くなった場所にインスリンを打つと、そうでない場所より吸収が悪くなるため、打っている場所を触って、皮膚が硬くなっていないか確認することも重要です。
まれに「針は刺しているが、ボタンを押していなかった」など、正しい手技が身についていない場合もあります。
これらの自己管理に問題がある場合は、退院前に患者さんに指導を行ったり、退院後も重点的に確認してもらえるよう、外来などに申し送りするとよいでしょう。
3.退院に向けて
患者さんの思いや状態、入院理由となった疾患を踏まえ、退院後にできそうな改善目標を、患者さんに考えてもらうよう支援していきます。
退院前に一度、生活の振り返りを行うと、患者さんの思いや考え方を理解したうえでの支援につながります。
生活の振り返り
患者さんの普段の生活を振り返り、現状と改善できそうな点を探ります。
患者さんと一緒に、朝起きてから寝るまでの1日の流れを振り返っていくと、食事・運動・薬物療法を実施できているか、治療を理解し実施に前向きになれているかスムーズに確認できます。
また、患者さんが持っている「血糖測定ノート」を使いながら、血糖が上がった/下がったときの原因や状況を聞いていくと、生活の中で気をつけるべきことに患者さん自身が気づくためのサポートになります。
退院後の生活目標設定
生活の振り返りで改善すべき点が見えたら、退院後の生活の中で、患者さんが自分にできそうな改善方法を考えられるように、支援していきましょう。
その後、患者さんに考えてもらった改善方法をまとめて、退院後の生活目標を設定します。
このとき重要なのは、以下の3点です。
❶ 患者さんの思いを否定せず、理解・共感し、頑張りを認める
❷ 改善すべき点の根本の原因を探る
❸ ❷で見つけた根本の原因を患者さんに伝え、必要であれば改善方法を例示し、患者さんが自分で考えるために支援する
A.❶❷❸を踏まえた生活目標設定支援の問答例
私はどんなに気をつけても、水でも太るんですよ。
そうなんですね。普段どんな食事をしていて、どんなことに気をつけているんですか?
※一旦受け入れて、そう感じている根本の原因を探る
間食はなかなかやめられないんだけど、お菓子は避けて、さつまいもを食べるようにしてるんです。さつまいもは野菜だし、食物繊維も豊富だから太らないでしょ。
※根本の原因は「さつまいもはどんなに食べても太らない」という誤認
お菓子を避けているんですね。なかなかできないことですし、すごいですね。
※患者さんの頑張りを認める
ただ、さつまいもは野菜といっても、白いごはんやパンと同じ炭水化物なんです。
せっかくお菓子をやめられているんですし、同じ野菜でも例えばトマトやブロッコリーとか、カロリーが低い野菜に変えてみたら、もっと結果が出てくるんじゃないかと思いますよ。
※根本の原因を伝え、改善方法を例示する
そうだったんですね!それなら、間食はトマトを食べるようにしてみようかな。
※改善方法を患者さん自身で考え、決定する
→今回の支援で患者さんが立てた食事療法の目標
間食に食べていたさつまいもを、トマトやブロッコリーなどカロリーの低い野菜に変える
運動は本当に苦手で、できればやりたくないんです。
そうなんですね。どうしてそう思うんでしょうか?
※一旦受け入れて、そう感じている根本の原因を探る
運動って気軽にできるものじゃないし、やろうと思っても面倒で。やらなくちゃとは思うんですけどね。
※根本の原因は、運動への心理的ハードルの高さ
たしかに、「運動しなくちゃ!」と思うと気が重い感じもしますよね。
※患者さんの思いを認め、共感する
ただ、日常生活の中の、何かのついでにちょっと足すくらいで十分なんですよ。エレベーターを階段に変えてみたり、出かけるとき1駅だけ早めに降りて歩いてみたり、それくらいでいいんです。
歩数計をつけると、どれくらい歩いたかがわかって達成感もありますよ。
※根本の原因である、運動への心理的ハードルの高さを下げるための考え方を伝え、改善方法を例示する
それなら、毎日買い物に行くから、そのついでに少し散歩してみようかな。
※改善方法を患者さん自身で考え、決定する
→今回の支援で患者さんが立てた運動療法の目標
歩数計をつけて、毎日買い物に行くついでに散歩する
インスリン注射、しなくちゃいけないのはわかっているんだけど、あまり前向きになれなくて…。
そうだったんですね。どうしてそう思うんでしょうか?
※一旦受け入れて、そう感じている根本の原因を探る
インスリン注射が必要って、私は重症の糖尿病ってことでしょう。
つい数か月前に診断されたばかりだから薬で済めばよかったのに、注射も必要なほどなんだと思うと悲しくて。注射を見るたびに落ち込んでしまうんです。
※根本の原因は、「インスリン注射が必要=重症、内服のみ=軽症」という誤認
それはつらかったですね。
※患者さんの思いを認め、共感する
実は糖尿病が重症かどうかは、合併症があるかないか、それが進行しているかどうかなんです。
合併症が進行すると、目が見えづらくなったり、足の感覚が鈍くなったりするのですが、○○さんはまだそういったことはないですよね。だから、重症じゃありませんよ。
※根本の原因である「インスリン注射が必要=重症」は事実ではないことを伝える
重症にならないためには、合併症を発症・進行させないことが一番大事なんです。
インスリン注射を使って、血糖コントロールがしっかりできていれば、合併症は予防できます。逆に、血糖コントロールができないままだと、合併症を発症しやすくなってしまうんです。
※インスリン注射の重要性を伝える
そうだったんですね。まだ重症じゃないんだったら、そうならないように気をつけなくちゃね。
食事前に打つのを忘れないように、目に入るところに置いておこうかな。
※正しい知識を知った患者さんが、改善方法を自分で考え、決定する
→今回の支援で患者さんが立てた薬物療法の目標
毎食前のインスリン注射と食後の服薬を忘れないように、すべてまとめて食卓に置いておき、実施できているかをノートで管理する
B. Aを踏まえて設定した、退院後の生活改善目標の例
■生活全体の目標
・食事、体重、運動内容、服薬とインスリン注射の記録をノートにつけて、次の受診時に振り返る
■食事療法
・間食はトマトなどカロリーの低い野菜に変更する
・毎食の白いごはんの量をお茶椀1杯から0.8杯に減らす
・体重を3か月で2キロ減量する
■運動療法
・毎日5000歩を目安に歩く
・買い物のついでに散歩する
・エレベーターを使わず階段を使う
■薬物療法
・忘れずに服薬、注射ができるようノートで管理する
・服薬、注射の必要なタイミングで必ず目に入る食卓に、薬とインスリン注射器を置いておく
BMIを参考にした支援
支援の際には、患者さんのBMIを参考にすることもできます。
BMIは、肥満度を示す男女共通の指標で、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」の計算式で算出します。
体重コントロールが必要な場合、BMI22(65歳以上では22~25)程度を目標として設定します。
食事療法・運動療法の目安となるだけでなく、支援方針の検討にも役立ちます。
表BMIの適正値
年齢(歳) | 目標とするBMI(kg/m2) |
---|---|
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65~74 | 21.5~24.9 |
75~ | 21.5~24.9 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、2019年
(例)患者さんのBMIが高いとき
BMIが25以上の場合は肥満であり、肥満になる原因が、糖尿病悪化の原因とつながっていることもあります。
また、目標があると行動改善しやすい患者さんもいるので、体重減少を目標とすることが、食事療法や運動療法の動機付けになる場合もあります。
■BMIが高い患者さんの食事療法の例
肥満の原因が過食傾向である場合
→食事の量を適切に保つ支援
など
■BMIが高い患者さんの運動療法の例
肥満の原因が運動不足である場合
→家の中でできる運動(踏み台昇降など)
→散歩、買い物に行く際に5分のところを10分、15分遠回りをして歩いてみる
→万歩計をつけて現在の運動量を把握し、1日5000歩は歩いてみる
などを提案
退院後の見守り
退院後の見守りとして、外来との連携も重要です。
入院中に立てた計画を実践してみてどうだったか、患者さんと一緒に評価し、成功体験を得られると、患者さんの自信につながります。
小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねていくことで、患者さんが前向きに治療に取り組めるよう、外来と連携しながら見守っていく必要があります。
糖尿病の概要と分類
糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなってしまい(インスリン抵抗性)、慢性的に血糖値が高い状態が続く疾患です。
治療が適切に行われず、高血糖状態が続くと、血管の内側などの細胞がダメージを受け続け、さまざまな合併症を引き起こしてしまいます。
また、糖尿病は一度発症すると治りません。そのため、治療の目的は「糖尿病と共生し、悪化させないこと」となります。
インスリンとは?
膵臓から分泌されるホルモンのひとつです。
血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用するのを助け、血糖値を一定の範囲に保つ上で重要な役割を果たしています。
<インスリンの役割>
・血液中のブドウ糖を、細胞に届ける
・インスリンと、細胞の表面にあるインスリン受容体が結合することで、血液中のブドウ糖が、エネルギー源として蓄えられる形(脂肪、グリコーゲンなど)に変換される
糖尿病の分類
糖尿病は、「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の糖尿病」「妊娠糖尿病」の4つに分類されています。
1型糖尿病
インスリンを分泌する細胞が破壊され、インスリンが欠乏することで発症します。
インスリンをほとんど出せなくなってしまうため、インスリン療法が必要です。
痩せ型の若者に多く、日本での有病率は1万人あたり1.5~2人といわれています。
2型糖尿病
2型糖尿病は、遺伝因子に環境因子が加わって、インスリンの分泌量が減ってしまったり、インスリンの効きが悪くなってしまうことで発症する糖尿病です。
<遺伝因子>
家系に糖尿病患者がいる
<環境因子>
・生活習慣(過食・肥満・多飲など)
・ストレス など
治療のおもなポイントとしては、以下2点が挙げられます。
- 1食事や運動、服薬によって、インスリンの効きをよくすること
- 2足りないインスリンを必要なタイミングで補って、血液中のブドウ糖を適切にエネルギーに変換させ、血糖値を改善すること
なお、日本の糖尿病患者の約95%は「2型糖尿病」です。
その他の糖尿病
遺伝子異常/薬剤性/内分泌疾患などによる糖尿病は「その他」と分類されています。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見または発症した糖代謝異常を、「妊娠糖尿病」といいます。ほかの分類と異なり、糖尿病には至っていません。
ほとんどの例では、出産後に改善します。
糖尿病の検査データの見方
糖尿病の状態を判断したり、経過を正確に把握するために、検査データの確認が重要です。
1型糖尿病、2型糖尿病の患者さんの検査項目と目標検査値は、以下の画像のとおりです。
血糖
血液中のブドウ糖の濃度。
糖尿病と診断されるのは「空腹時血糖126mg/dL以上」が、別の日に行った検査で2回以上認められた場合です。
糖尿病と診断されたあとは、「空腹時血糖130mg/dL未満」が目標数値となります。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
短期間の変化に影響されず、過去1~2か月間の平均的な血糖値がわかるため、血糖コントロール状態を確認する指標とされます。
糖尿病の状態に応じて、目標を設定します。
グリコアルブミン(GA)
血液中のアルブミンというタンパク質の一種に、ブドウ糖が結合したもの。
過去2週間の平均的な血糖値がわかり、HbA1cより短期間の変化を確認することができるため、入院や治療、薬剤の効果をみるときに用いられます。
糖尿病の合併症と観察項目
糖尿病患者さんは、高血糖状態が続くことや、血糖コントロールがうまくいかないことにより、さまざまな合併症のリスクを持っています。
おもな合併症と、その症状・誘因、観察項目や必要な看護について解説します。
糖尿病の合併症は、大きく「急性」「慢性」の2つに分類されます。
急性合併症
糖尿病の急性合併症は、ほとんどの場合、血糖値の急激な上昇や下降によって起こります。
患者さんの命に関わる場合もあるため、観察項目や対応方法について知識を備えておくことが重要です。
糖尿病ケトアシドーシス
高血糖昏睡の一種で、インスリンが極度に不足する(=血液中のブドウ糖をエネルギーに変えられなくなる)ことで起こります。
血液中のブドウ糖をエネルギーとして使えない代わりに、脂肪をエネルギーに変えようとしてケトン体が急増し、血液が酸性に傾いてしまうこと(ケトアシドーシス)が原因です。
短時間でひどい脱水症状、腹痛、嘔吐、意識障害、昏睡が現れ、命の危険があります。
注意点
糖尿病ケトアシドーシスは、1型糖尿病の患者さんに多い急性合併症です。
以下にあてはまる場合は特に発症リスクが高いため、注意が必要です。
・感染症にかかったとき
・心筋梗塞、脳梗塞、胃腸障害など他疾患を併発したとき
・暴飲暴食をしてしまったとき
・インスリン注射を忘れてしまったとき
高血糖高浸透圧症候群
高血糖と脱水が合わさり、体内の浸透圧のバランスが崩れることで起こります。
意識障害やけいれんを伴う強い脱水症状、著しい高血糖(血糖値600mg/dL以上)になり、重症化すると昏睡に至るなど命の危険があります。
注意点
高血糖高浸透圧症候群は、高齢の2型糖尿病患者さんに多い急性合併症です。
以下にあてはまる場合は特に発症リスクが高いため、注意が必要です。
・肺炎や尿路感染など感染症にかかったとき
・飲水量が不足しているとき(脱水)
・侵襲の大きな手術後
・高カロリー輸液や経管栄養の使用中
・ステロイド、利尿薬などの服用中
低血糖
一般的に、血糖値が70mg/dL以下となった状態を指します。
初期症状は、冷汗、手指振戦、脱力感、動悸、顔面蒼白などです。
さらに血糖値が下がり、50mg/dL以下になると、目のかすみ、けいれん、意識障害などの症状が起こります。
注意点
以下の状態は、低血糖の誘因となるため、注意が必要です。
・インスリンや経口血糖降下薬の過剰投与
・食事摂取量が少ない
・活動量の増大
慢性合併症(三大合併症)
糖尿病の慢性合併症は、高血糖状態が慢性的に続き、血管にダメージが蓄積することが原因となる場合が多いです。
慢性合併症の中でも「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」は、「糖尿病の三大合併症」ともいわれています。
これらの合併症の発症、進行を防ぎ、患者さんのQOLを守ることが、糖尿病看護において重要なポイントです。
糖尿病神経障害
慢性的な高血糖により、全身の末梢神経が障害される合併症です。
症状に合わせた支援や、足の健康を守りQOLを維持するためのフットケアが重要です。
<感覚・運動神経の障害によるおもな症状>
・足のしびれ、冷感
・異常感覚
・感覚鈍麻
<自律神経の障害によるおもな症状>
・起立性低血圧
・便通異常
糖尿病網膜症
高血糖により、網膜の微小血管がダメージを受け、血管閉塞などが起こることで発症します。
重症化すると、視野に黒いものがちらつくなど見え方の異常や、急激な視力低下が起き、QOLが著しく低下するおそれがあります。
重症化してから症状が出る場合が多いため、早期発見のために、定期的な眼科受診が重要です。
糖尿病腎症
高血糖により、腎臓内で血液のろ過を行っている糸球体がダメージを受けることで発症します。
進行すると腎機能そのものが低下して、透析治療が必要になる場合もあります。
自覚症状がないまま進行するため、発症を防ぐための血糖コントロール、発症後は病期に合わせた目標設定と支援が重要です。
その他の合併症
糖尿病足病変
高血糖による易感染性や血流不足、糖尿病神経障害などにより、足にできた傷などが悪化し、潰瘍や壊死を引き起こすことを、糖尿病足病変といいます。
詳しくは→糖尿病患者のフットケア|フットケア(看護技術)|看護roo!
まとめ
糖尿病看護においては、患者さん自身が無理なく糖尿病と折り合いをつけながら生活していけるように支援することが、看護師の重要な役割です。
患者さんの思いや現状を理解し、それに合わせた支援を行いながら、必要に応じて外来と連携することで、よりよい看護を提供することができます。
糖尿病の患者さんを受け持った際に、参考にしてください。
編集:看護roo!編集部 光松瞳
東京都済生会中央病院副看護部長、糖尿病看護認定看護師。日本糖尿病教育・看護学会、日本糖尿病学会所属。糖尿病看護関連書籍や論文の執筆など、幅広く活躍。
※編集部注※
当記事は、2014年8月26日に公開した『全科ナースが知っておきたい「糖尿病の合併症」| いまさら聞けない!ナースの常識【33】』という記事を、2022年9月30日に修正・加筆したものです。
参考文献
- 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2019,南江堂.2019,446p
- 土方ふじ子.まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール,照林社.2019,151p
- 日本糖尿病教育・看護学会編.糖尿病に強い看護師育成支援テキスト,日本看護協会出版会.2008,284p
- 肥後直子編著.治療・ケア・患者教育をらくらく理解♪ 糖尿病看護きほんノート,メディカ出版.2020,256p
- 石本香好子編著.カラービジュアルで見てわかる!はじめての糖尿病看護,メディカ出版.2017,144p
- 河口てる子編.熟練看護師のプロの技見せます!慢性看護の患者教育―患者の行動変容につながる「看護の教育的関わりモデル」,メディカ出版.2018,184p
- 平野勉監,柏崎純子編.見てできる臨床ケア図鑑 糖尿病看護ビジュアルナーシング 改訂第2版,学研メディカル秀潤社.2021,464p
- 安酸史子.糖尿病患者のセルフマネジメント教育―エンパワメントと自己効力,メディカ出版.2004,157p