ステロイドとは・・・
ステロイド(すてろいど、steroid)とは、広義では性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどのステロイド骨格を有する化合物の総称である。狭義では副腎で合成されるステロイドホルモンを配合した副腎皮質ステロイド薬(ステロイド薬)を意味し、ステロイドとよぶ際には後者を指すことが多い。
ステロイド薬は、抗炎症および免役抑制作用があり、アレルギー疾患の治療などに用いられる。
ステロイド薬の作用
副腎皮質では、グルココルチコイド(コルチゾールなど)、ミネラルコルチコイド(アルドステロン)、副腎アンドロゲン前駆体(デヒドロエピアンドロステロン〈DHEA〉など)の3つの系統の副腎皮質ステロイドホルモンが産生される。グルココルチコイドとミネラルコルチコイドには、生理的ストレスならびに循環動態、体液バランスや電解質の恒常性を保つ作用がある。
ステロイドホルモンは、転写因子として特定の遺伝子発現(タンパク合成)を調節することにより、多様な作用を発揮する。薬剤としてのステロイドはこれらの作用のうち、炎症性メディエーターなどの発現の制御(抗炎症・免疫抑制)を目的として投与される。
ステロイド薬の種類
表1に、臨床で全身投与に用いられる主なステロイド薬を示した。
各ステロイドの主な違いは①力価、②副作用の軽減(グルココルチコイドとは受容体の異なるミネラルコルチコイド作用(電解質作用)の分離)である。各ステロイドの1錠中には基本的にヒトの1日の分泌量であるヒドロコルチゾン20mgに相当する量が含まれる。
表1ステロイドの種類(ヒドロコルチゾンの力価を1とする)
ステロイド薬の副作用
ステロイドは多くの薬理作用を合わせ持つ。臨床で使用する場合は抗炎症および免疫抑制作用を目的としているが、その一方で多くの副作用が存在するのも事実であり、特に免疫抑制作用は患者の病態によっては感染症の原因となるので、注意が必要である。
重症の副作用
易感染性
骨粗鬆症
動脈硬化病変
副腎抑制によるステロイド離脱症候群
消化性潰瘍
耐糖能低下(二次性糖尿病)
精神症状(抑うつ、不安、不眠、多幸)
軽症の副作用
異常脂肪沈着(中心性肥満、満月様顔貌、野牛肩)
多毛、皮下出血、痤瘡、皮膚線条、皮膚萎縮、発汗異常
後嚢白内障、緑内障、眼球突出
浮腫、高血圧、うっ血性心不全、不整脈
ステロイド筋症
月経異常
白血球増加