起立性低血圧とは・・・
起立性低血圧(きりつせいていけつあつ、orthostatic hypotension)とは、臥位から立位に体位変換をしたときに、重力の影響で下半身に循環血液が偏在した結果、収縮期血圧が20mmHgもしくは拡張期血圧が10mmHg以上低下することである。
起立性低血圧の検査では、立位になる前に少なくとも5分以上臥位を保ってもらい、立位になった後3分以内に立位のまま血圧を測定することにより診断する。5分以降に症状を呈する場合には、経時的に5分後以降に測定することもある。
症状
起立性低血圧による症状は、主に低血圧に伴う脳の血液循環低下により引き起こされる症状であり、例えば全身脱力感、めまい、眼前暗黒感、前失神・失神などが含まれる。
原因
起立性低血圧の原因には、主に自律神経障害、循環血症量減少、薬剤性、加齢によるものが考えられる。心拍数の増加を伴わない起立性低血圧は神経障害由来、心拍数の増加が顕著な場合は循環血液量の減少を疑う。
自律神経障害には、パーキンソン病・パーキンソン症候群などの神経変性疾患によるものから、糖尿病などによる末梢神経障害によるものまで含まれる。また、循環血漿量減少では、脱水、出血性疾患(血便・黒色便などの問診が重要となる)、あるいは利尿剤による影響などが含まれる。薬剤性では降圧薬によるものが多いが、それ以外にも抗うつ剤・前立腺肥大に対する薬剤など一般的に処方されている薬剤が原因になることもあり、注意が必要である。
治療
対処可能な原因が明らかな場合、あるいは疑わしい原因がある場合には、まず原因の除去が基本となる(脱水の改善、原因薬剤の中止・減量や変更など)。原因が不明あるいは対処が困難な場合は、生活指導(急に立ち上がらない、適切な水分・塩分の摂取、転倒に注意する、弾性ストッキングの装着)などの非薬物療法から始める。それでも症状が続く場合には、内服加療(交感神経賦活薬、鉱質コルチコイドなど)が考慮される。