糖尿病足病変とは・・・
糖尿病足病変(とうにょうびょうあしびょうへん)とは、神経障害や末梢血流障害を伴った下肢の感染症や潰瘍および深部組織の破壊といった病変のことである。病変自体を略して「足壊疽」と呼ぶことが多い。神経障害(末梢神経障害、自律神経障害)と血管障害はそれぞれ独立した危険因子になっている。
神経障害
神経障害は運動神経、感覚神経、自律神経がそれぞれ障害され、その程度に応じて多面的に足病変をきたしている。運動神経障害が進行すると足の筋力のバランスの崩壊や歩行異常をきたし、足の変形がみられ、不必要な圧が趾尖部や足底部にかかり、病変をきたしやすくなる。感覚神経障害が進行すると触覚、温痛覚、固知覚の障害から足部に外傷があっても自覚されずに潰瘍の原因になり得る。自律神経障害が生じると発汗の減少を生じ、皮膚が乾燥し、ひび割れや亀裂をきたすため感染しやすくなる。
血管障害
血管障害は足潰瘍の発生原因であるばかりでなく、潰瘍治癒機転をも阻害する。他の末梢動脈閉塞症と比較して、(1)若年者にもみられ、(2)性差はなく、(3)広範囲で、(4)進行が早く、(5)膝下の末梢動脈に生じやすいことが、糖尿病患者における血管障害の特徴である。
検査
検査にはベッドサイド検査、電気生理学的検査、画像検査、感染症検査等を必要に応じて行う。
治療
治療については、厳格な血糖コントロールが必要であり、感染時にはインスリン治療が基本となる。免荷、抗菌薬治療も必要に応じて実施するが、重症になると外科的切除を考慮しなければならなくなる。
糖尿病足病変は再発率が高く、定期的な足のチェックとフォローが必要である。専門施設では患者教育、啓発、治療のため、フットケア専門のチームを構築したりしている。