膵臓とは・・・
膵臓(すいぞう、pancreas)とは、膵液(消化液)を分泌する外分泌機能と、ホルモンを分泌する内分泌機能を有する後腹膜臓器である。
解剖
膵臓は、重さ約60~70g、長さ15cmほどの細長い器官である。後腹膜の正中部分、下降大動脈の前方辺りに脾動脈に沿うように位置している。膵臓は膵頭部、膵体部、膵尾部に分けられる。膵頭部は十二指腸で囲まれており、膵尾部は脾臓と接している。膵頭部は右端から上腸間膜動脈と上腸間膜静脈の境界部分までと定義され、残り部分を半分に分け、その内の右側を膵体部、左側を膵尾部と呼ぶ。
膵臓内には、膵管と呼ばれる膵液を十二指腸に流出する管腔構造がある。十二指腸に流出する直前で主膵管(ウィルスング管;Wirsung管)と副膵管(サントリーニ管;Santrini管)に分かれ、主膵管は膵臓内で総胆管と合流して大十二指腸乳頭(ファーター乳頭;Vater's papilla)に開口する。
生理
(1)外分泌機能
胃から十二指腸へ食塊が入ることを契機として、消化管の内分泌細胞からコレシストキニンやセクレチンと呼ばれるホルモンが放出される。これらが膵臓の細胞に作用し、アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素を分泌する。膵酵素は、糖質、タンパク質、脂質の三大栄養素などを分解する働きがある。
(2)内分泌機能
膵臓の膵島(ランゲルハンス島;islets of Langerhans)と呼ばれる部位にα(アルファ)細胞、β(ベータ)細胞、δ(デルタ)細胞と呼ばれる3種類の細胞が存在する。α細胞はグルカゴンを分泌し、肝臓のグリコーゲンの分解を促進することで血糖値を上昇させる。β細胞は膵島細胞の70%ほどを占める最も多い細胞であり、インスリンを分泌することで細胞内へのグルコース取り込みを増やし、血糖値を下げる。δ細胞はソマトスタチンを分泌し、インスリンやグルカゴンなどの分泌を抑える役割がある。
図1膵臓とその周囲の消化器に関わる臓器
図2膵臓とその周囲の臓器の解剖