ヘモグロビンとは・・・
ヘモグロビン(へもぐろびん、hemoglobin;Hb)は、体内の各組織に酸素を運ぶはたらきをする複合タンパク質である。ヒトの血液は1ml中に約5×109個の赤血球を含み、1個の赤血球中には約2.8×108個のヘモグロビンが含まれている。基準値は男性で14~18g/dL、女性で12~16g/dLである。鉄が欠乏するとヘムの合成が阻害されるため貧血となる。
ヘモグロビンは、脊椎動物の赤血球に含まれる鉄を含む色素(ヘム)とタンパク質(グロビン)から構成されたサブユニットが4つ結合した4量体構造の複合タンパク質である。ヘムの中心部分に存在する鉄が酸素1分子と結合する。つまり、1つのヘモグロビンは4つの酸素分子と結合し運搬することができる。ヘモグロビンは、酸素分圧の高い肺で酸素を結合し、酸素分圧の低い組織で酸素を遊離する。
ヘモグロビンは、1g当り1.36mLの酸素を結合する。酸素と結合したヘモグロビンはオキシヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン、oxyhemoglobin)と呼ばれ、動脈血の色である鮮紅色を示す。酸素と結合していないヘモグロビンは、デオキシヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン、deoxyhemoglobin)と呼ばれ、静脈血の色である暗赤色を示す。
酸素の放出は水素イオン濃度(pH)の低下により促進されるため、CO2が多くpHの低い末梢組織では、より酸素を遊離しやすい。CO2は呼吸で肺から体外に放出されるとpHは元に戻り、再度ヘモグロビンが酸素と結合するようになる。一酸化炭素は酸素の200倍以上の親和性でヘモグロビンと結合するため、一酸化炭素中毒の場合は組織の酸素不足をきたす。