バンコマイシン注|キャラ勉!抗菌薬データ

(『キャラ勉!抗菌薬データ』より転載)

 

本記事では、よく使用される抗菌薬をキャラクターで表現しています。

 

バンコマイシンの適応、投与方法、注意事項、作用などをアイコン化して理解しやすくしています。

 

バンコマイシン注

塩酸バンコマイシン(点滴静注用)/シオノギ(1995 年)

 

注射剤0.5g /注射薬 

 

   

 

(左から作用機序、PK/PD、タンパク結合率、分布容積、代謝/排泄、消失半減期、分子量)

 

Point

  • グラム陽性菌に抗菌力、多剤耐性菌(MRSAなど)に使用
  • MRSA、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎球菌に適応
  • 抗MRSA 薬の中で有効性や副作用に関するエビデンスが豊富
  • 分子量大きい
  • 適正使用を目的にTDMを実施

 

薬剤データ

作用機序

作用機序

 

PK/PDパラメーター

PK/PDパラメーター

 

抗菌薬の有用性に影響を与えるパラメーター

 

タンパク結合率

タンパク結合率

 

大:80%以上、小80%未満として分類。

 

分布容積

分布容積

 

小:20L未満、中:20L以上50L未満、大:50L以上として分類

 

代謝/排泄

代謝/排泄

 

未変化体尿中排泄率により、腎排泄型:70%以上、中間型:30%以上70%未満、肝代謝型:30%未満として分類

 

消失半減期

消失半減期

 

血中の薬物濃度が半分になるまでに要する時間

 

分子量

分子量

 

小:500未満、中:500以上1000未満、大:1000以上として分類

 

特徴

同系の薬剤

アルベカシン(ハベカシン)、テイコプラニン(タゴシッド)、リネゾリド(ザイボックス)、ダプトマイシン(キュビシン)

 

主な適応症

敗血症、感染性心内膜炎、細菌性髄膜炎肺炎腹腔感染症、手術部位感染症、骨髄炎・関節炎発熱性好中球減少症

 

適応菌

 

グラム陽性球菌

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MRCNS(メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)、PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)

 

一般的投与方法

[成人](1日)
2g、2~4回に分割(高齢者1g、1~2回に分割)
点滴静注(60分以上かけて)

 

[小児](1日)
40mg/kg、2~4回に分割
点滴静注(60分以上かけて)

 

点滴静注 生理食塩水、5%ブドウ糖

 

禁忌症・禁忌薬

難聴のある患者

 

主な副作用

比較的まれだが重大なもの

ショック、アナフィラキシー、急性腎不全、間質性腎炎、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、剥脱性皮膚炎、薬剤性過敏症症候群、第8 脳神経障害、偽膜性大腸炎、肝機能障害、黄疸

 

比較的よく見られるもの

発疹、発赤、顔面紅潮下痢、悪心、嘔吐、AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P 上昇、BUN 上昇、クレアチニン上昇など

 

抗菌薬キャラクターのイメージ設定について

本書は、抗菌薬(抗真菌薬・抗ウイルス薬含む)を14 の系統に分けて52 の薬剤キャラクターで表しています。

 

各系統(薬剤集団)ごとに時代背景や職業などをイメージし、象徴する旗(エンブレム)を作成しました。

 

本書に登場する薬剤キャラクターたちが、なぜそのような設定になったのか頭に定着させ、楽しみながら「キャラ勉」しましょう。

 


[著者Profile]

黒山 政一(くろやま まさかず)
北里大学病院 薬剤部長/薬剤師/医学博士
1676年、東京薬科大学薬学部を卒業し、北里大学病院薬剤部に入職。1991年、医学博士号を取得。2003年、北里大学病院薬剤部長、現在に至る。

 

小原 美江(こはら はるえ)
北里大学東病院 薬剤部/薬剤師
1998年、北里大学大学院薬学研究科修士課程を修了し、北里大学東病院薬剤部に入職。現在に至る。

 

村木 優一(むらき ゆういち)
京都薬科大学 臨床薬剤疫学分野 教授/薬剤師/医学博士 1999年、京都薬科大学薬学部を卒業、2001年、同大修士課程を修了し、三重大学医学部付属病院薬剤部に入職。2010年、医学博士号を取得。2011年米国留学後、2013年より副薬剤部長。2017年、京都薬科大学薬学部 臨床薬剤疫学分野 教授に着任。現在に至る。

 

*略歴は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社羊土社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)羊土社

 

[出典] 『キャラ勉!抗菌薬データ』 羊土社

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