最終更新日 2018/10/10

黄疸

黄疸とは・・・

黄疸(おうだん、jaundice)とは、ビリルビンと呼ばれる代謝産物が何らかの理由で血液中に増加することで、全身の皮膚や粘膜に沈着、黄染した状態のことである。血清総ビリルビン値が2~3mg/dl以上になり、皮膚や眼球結膜などに他覚的な黄染を認める状態を顕性黄疸と呼ぶ。血清ビリルビン値が基準値より高い状態で肉眼的に黄疸として認められない状態を、潜在性黄疸と呼ぶこともある。

 

分類

黄疸は、その原因により、溶血(肝前)性、肝細胞性、閉塞(肝後)性の3つに分類される。

 

溶血(肝前)性黄疸は、何らかの理由で赤血球が破壊(溶血)されることで、赤血球内の間接ビリルビンが多量に血液中に放出され、肝臓での代謝(抱合)が間に合わないため、血中の間接ビリルビンが増加して起こる。自己免疫性溶血性貧血(AIHA)や発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)などが原因で起こり得る。間接ビリルビンは水に溶けないので尿中に排泄されず、尿中ビリルビンは陰性となる。

 

肝細胞性黄疸は、肝細胞の広範な障害により、肝細胞におけるビリルビンの代謝障害や、胆汁(直接ビリルビン) を胆管へ運搬する機能の低下により、血中ビリルビンが増加する病態である。急性肝炎、自己免疫性肝炎や肝硬変など様々な肝疾患が原因で黄疸が引き起こされる。

 

肝細胞性黄疸のなかでも代表的なのは体質性黄疸である。先天的な肝のビリルビン代謝異常によって起こる黄疸の総称 であり、ジルベール(Gilbert)症候群やデュビン-ジョンソン(Dubin-Johnson)症候群などがある。

 

閉塞(肝後)性黄疸は、胆汁がうっ滞することで血中に直接ビリルビンがあふれ出して高ビリルビン血症を来す。総胆管結石、胆道がん、膵がんなどの器質的な閉塞が原因となる。

執筆: 大久保祐希

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科フェロー

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