最終更新日 2018/05/11

X線検査

X線検査とは・・・

X線検査(Xせんけんさ、X-ray examination)とは画像検査方法の一種で、X線を照射して、内部の様子を可視化する検査である。

 

X線は1895年にヴィルヘルム・コンラート・レントゲンによって発見された放射線の一種で、波長が1pm ~10nm程度の電磁波である。当時、未知の電磁波であったため、未知数を表すXを使用し、X線と呼んだ。

 

X線は感光板を黒く変色させるため、対象がX線を透過させた部分では黒く写り、対象がX線を阻止した場合には、その部分が白く写る。X線の透過度が高い組織としては皮膚や空気(肺)、筋肉、軟骨などがある。逆にX線の透過度が低いものとしては骨や、組織をより明瞭に描き出すために注入する造影剤があり、他に肺炎や腫瘍などがある部位でも周囲の組織より透過度が低くなり白く映る。

 

X線検査には、単純X線検査、CT検査、X線を通さない造影剤を経口・経静脈的に使用した造影X線検査、および連続的にX線を使用する透視下検査がある。

 

単純X線検査択

単純X線撮影では、X線を検査対象部位に照射し、その先に置いてあるフィルムに直接焼き付けて画像化する。

 

単純X線検査は主に骨や肺の病変を描き出すのに、積極的に使用されている。骨病変では骨折の診断に最も有用な検査方法である。胸部単純X線検査では、肺炎、肺癌、胸水、気胸などの肺野の病変だけでなく、縦隔、心臓、軟部組織、横隔膜などの評価にも使用される。腹部単純X線検査の使用頻度は減っているが、イレウス(腸閉塞)が疑われるときに立位での撮影の腸管ガス像の観察などで使用される。ほかには、結石や、臓器の石灰化、腰椎の観察などに使用される。

 

造影剤を使用した単純X線検査もある。バリウム液を飲みや腸などを評価する消化管X線造影検査や、子宮卵管造影検査などである。上部消化管X線造影検査ではバリウム液を飲んで胃粘膜などにX線を透過させないバリウムを付着させ、胃粘膜の状態やポリープなどを描出する。また、下部消化管X線造影検査では、バリウム液を注入し、腸粘膜に付着させることでポリープやがん病変などを描出させる。子宮卵管造影検査では、経膣的に造影剤を注入し、子宮の内腔の状態や卵管の疎通性を評価する。

 

CT検査

CT検査とは、コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略であり、単純X線検査と異なり体内の断面を撮影する検査方法である。X線が組織・臓器によって通過しやすさが異なる性質を利用し、通過したX線量の差をコンピューターで処理して、身体の断面画像を得る検査である。現在多くの施設で導入されている装置は、マルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を撮影することができ、立体的な画像(3D画像)が容易に描出できるようになった。そのため、各臓器の病変描出にとても優れている。

 

また、造影剤(ヨード製剤)を使用する造影CT検査では、血管や各臓器への血流状態の評価を行ったり、炎症がある病変部位をよりわかりやすく描出したりすることができる。

 

透視下検査

上記の単純X線検査やCT検査に加えて、持続的にX線を放出し、それをモニターなどにリアルタイムで映し出しながら検査や治療を進める透視下検査がある。上記の消化管X線造影検査なども透視下で進める場合がある。その他に、狭心症心筋梗塞の診断・治療で使用される心臓カテーテルを用いた冠動脈造影検査、気管支鏡と組み合わせた透視下気管支鏡検査、内視鏡と組み合わせ胆道系の描出をする内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査や経皮経肝胆管ドレナージ検査、脊髄腔内を観察するミエログラフィー検査、嚥下機能を評価する嚥下造影検査などがある。また透視下でCT検査での生検穿刺なども行われる。

 

このように各部位のX線検査、造影剤の使用の有無、透視下で行うかどうかで多種多様な検査がX線を使用して行われている。

執筆: 浅香葉子

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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