最終更新日 2018/05/08

胃粘膜

胃粘膜とは・・・

粘膜(いねんまく)は、胃の内面を覆う膜状の構造物である。胃の内面、粘膜にはひだの形成が見られ、拡大してみると数mmの隆起が多数見られる。これは胃小区と呼ばれ、その表面には小さなくぼみが無数に開いている。このくぼみは胃小窩と呼ばれる。固有胃腺は胃小窩の底部に開口する。

 

胃粘膜を構成する上皮細胞は、表層粘液細胞、腺(幽門腺、胃底腺、噴門腺)細胞、内分泌細胞がある。

 

表層粘液細胞は、胃粘膜表面と胃小窩の壁を覆う丈の高い単層の円柱状細胞であり、核は基底側に位置し、細胞質は淡明ないし弱好酸性である。分泌される粘液は胃酸から粘膜上皮を守る機能がある。

 

腺細胞は、胃の区域によってその構造や機能が異なる。幽門腺と噴門腺は類似した形態を示すが、幽門腺は幽門と幽門前庭部に分布し、噴門腺は食道と胃の境界線を含む1 cm程の範囲に限られている。腺は粘液産生細胞からなり、泡沫状の細胞質を有している。粘液は胃内容の潤滑として働いている。胃体部、底部の腺組織はもっぱら胃底腺と呼ばれる管状腺からなっている。胃底腺は主細胞、壁細胞、頚部粘液細胞からなる。主細胞はペプシノーゲンを産生し、壁細胞は塩酸の産生を行う。

 

胃粘膜には様々な種類の内分泌細胞が存在しているが、幽門部では50%以上がガストリン産生細胞、30%はセロトニン産生細胞であり、15 %はソマトスタチン産生細胞からなる。胃体部ではヒスタミン産生細胞が多い。

執筆: 大橋健一

横浜市立大学附属病院 病理診断科・病理部教授

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