整形外科看護師のお仕事とは?

現役ナースへのインタビュー・アンケート取材から、整形外科ナースのお仕事について紹介します。

 

診療科別・ナースのお仕事カタログ【2】

整形外科看護師のお仕事とは?

◆目次

整形外科ナースの役割

1)ADL(日常生活動作)の向上

2)自立度が低い(動けない)患者さんの心理的なケア

3)副子(シーネ)固定・包帯固定

4)オペ出し・オペ迎え

5)予約入院・検査入院・緊急入院の受け入れ

「整形外科を極めたい!」どこで働けばいいの?

整形外科ナースの1日ってどんなタイムテーブル?

整形外科ナースってこんなイメージ

整形外科のベテランナースってこんな人

整形外科ナース注目のスキルアップ資格

整形外科ナースのキャリアプラン例

整形外科ナースのあるあるエピソード

先輩から後輩へ!整形外科ナースを目指すあなたへのアドバイス

【Q1】整形外科のやりがいを教えてください

【Q2】整形外科は回復していく患者さんばかりの明るい雰囲気のイメージがありますが、実際はどうですか?

整形外科ナースが体験した患者さんとのエピソード

 

 

整形外科ナースの役割

整形外科のナースには、どのような役割があるのでしょう?

ここでは、特徴的な役割や、よく行う手技等をご紹介します。

 

 

1)ADL(日常生活動作)の向上

整形外科ナースの役割として一番重要という声が挙がったのは、ADL(日常生活動作)を向上・拡大することです。

 

整形外科病棟に入院する患者さんは、受傷や手術のためにADLが限られてしまっている状態です。

 

そのADLを、もとの自立レベルまで向上させるためのケアを、医師やPT(理学療法士)OT(作業療法士)と協働して行います。

 

整形外科は基本的には急性期の病棟です。

そのため、平均在院日数は短く、入退院の出入りが激しいと感じているナースが多いようです。

 

そのような短い入院期間の中で、どのようにADLを向上させるかを計画・立案することが整形外科看護師の重要な役割です。

 

◆先輩看護師の声

患者さんによって、自発的によく歩いてリハビリを行う人もいれば、なかなか歩かない人、痛みがあるために歩けない人、など状況はさまざまです。

 

そのような個人差がある中で、退院までに自立度を戻すために工夫するのが、看護師の腕の見せ所です。

 

看護師はPT(理学療法士)やOT(作業療法士)が行うリハビリテーションの内容や進行度を把握し、患者さんの病棟での生活(食事・排泄・入浴等)に安全が確保できるように介助します。

 

また、ADLを向上させるために、痛みの緩和や転倒予防、嚥下訓練、歩行介助などを行います。

退院を目指して、医師・リハビリテーションセラピストなど、多職種と協働するのが特徴です。

 

 

 

●痛みの緩和

患者さんの痛みの状態をアセスメントし、処方されている鎮痛薬で十分なのかどうか、病棟での生活に支障がないかをアセスメントして、必要であれば医師に伝えます。

 

また、状況に応じて処方されている頓用薬の使用のタイミングなどを調整します。

 

また、痛みの緩和については、薬だけに頼らないケアに看護師の工夫のしがいがあるという意見がありました。

 

◆先輩看護師の声

体位交換やクッションの利用で痛みが大幅に緩和されたり、ベッドを挙上して脚の位置を変えるだけで「楽になった~」と言ってくれる患者さんもいます。
また、創部が炎症を起こしているときには、クーリングをすることで痛みが和らぐ場合もあります。

 

経験を積んでくると、患者さんの状況から「あ、この患者さんは脚を上げてあげたらきっと痛くなくなるな」など、原因や対処法が感覚的にもわかってくるようになりますよ。

 

工夫次第で患者さんのケアができるところにも、看護師としてやりがいを感じますね。

 

お薬に関しては、処方の薬を服用していても患者さんからの痛みの訴えが変わらないな、というときには、「このお薬だと痛みが変わらないようなので、他のお薬に変えられませんか?」とドクターに相談もします。

 

患者さんの一番近くにいるのは看護師なので、きめ細かく対応できるように心がけていますよ。

 

 

●転倒予防

病棟生活中の転倒予防に、整形外科ナースは常に気を配っています。

転倒により、別の部位を受傷することは避けなければなりません。

 

整形外科看護師は、手術の部位や痛み、しびれの状態をアセスメントし、患者さんの入院中の生活環境を整えます。

 

◆先輩看護師の声

たとえば、看護師がそばについていながら転倒してしまう、ということはあまりありません。

 

ADLが自立レベルではなく、「動きたいときは必ず呼んでくださいね」と伝えているにもかかわらず、ベッドから自分で降りてしまう患者さんもいます。

そのような患者さんの場合にリスクが大きくなります。

 

そのため転倒の可能性がある患者さんのベッド周りの環境を整えたり、乗り降りの練習をしたり、工夫します。

ベッドへの乗り降り練習がリハビリになり、ADLの向上につながるという作用もありますよ。

 

ベッド柵を4つすべて上げてしまえば、降りられなくはなるのですが、できれば避けたいところです。

たとえば、四肢のどこを手術したかによって、どこの柵を下ろしておくと降りやすいかに差が出ます。

 

また柵だけでなく、ベッドを置く位置ひとつとっても転倒予防の効果に差が出るので、患者さんの動線をいつも考えていますね。

 

 

●嚥下訓練

頸椎術後の患者さんで嚥下障害になるという事例もあります。

ST(言語聴覚士)に介入してもらい、食事の形態をともに考えるのも整形外科看護師の役割です。

 

また、退院に向けて自分で食事を摂れるように、摂食嚥下訓練や上肢のリハビリも行います。

そのような場面では、PT・OT・STと協働します。

 

◆先輩看護師の声

私の勤めている病院では、看護師とST(言語聴覚士)が協働して患者さんの食事形態を話し合います。

飲み込むときに、どういう食事形態なら嚥下しやすいのか、患者さんの状態に合わせて検討します。

 

また、食事介助に入るときには、お口へのスプーンへの入れ方ひとつで飲み込みやすさが変わります。

 

とろみ食から、徐々に食上げしていく段階も計画します。

食事については、毎食の様子をみながら、看護師が中心となってケアします。

 

 

●歩行訓練、歩行介助

病棟での生活中に、病棟フロア内で行う歩行訓練は、看護師が介助をしながら行います。

リハビリテーションセラピスト(PT、OT)がリハ室で行う訓練と並行し、段階を追って行っているという病院が多いようです。

 

その際、看護師は、病棟で使う歩行器具(松葉杖、ロフストランド杖、四点杖、アーム付き歩行器など)を準備し、使用方法を教えます。

 

 

 

●生活指導、退院指導

整形外科病棟では、比較的短期間の入院ですぐに退院してしまいますが、実は退院後の数カ月~半年くらいまでリハビリに時間がかかる患者さんもいます。

 

そのため、退院後の生活についての指導は重点的に行うという声が聞かれました。

 

◆先輩看護師の声

たとえば、腰の手術をした人はコルセットを着用したり、肩の手術をした人は固定のための装具を数カ月着用したりと、退院後に必要なケアがあります。

 

また、大腿骨の人工骨頭を入れた人には、禁忌の姿勢などもあります。

これらの指導をするのは、PT・OTやリハ医だけでなく、看護師の大切な役割です。

 

 

2)自立度が低い(動けない)患者さんの心理的ケア

受傷や術後自立度(ADL)が低い(動けない)とき、患者さんは心理的に大きなストレスを感じている場合があります。

そのようなときに、想いを聞いたり話し相手になったりして、ストレスを軽減することも、整形外科ナースの役割です。

 

また、リハビリテーションや訓練に対してモチベーションが下がっているときには、何気ない会話や雑談から患者さんの気持ちをケアして、前向きになれるようにモチベートします。

 

リハビリへの意欲を高めていく関わりをした結果、患者さんのADLが向上し、退院できるようになることにやりがいを感じるという声が聞かれました。

 

 

3)副子(シーネ)固定・包帯固定

副子(シーネ)固定、包帯固定は、整形外科ナースが日常的に行う看護ケアです。

 

創部が炎症を起こしていないか、などを観察し清潔ケアを行いながら、副子(シーネ)や、包帯を交換します。

 

創部周辺の皮膚は、褥瘡の発生リスクが高い部位です。
また、包帯や副子(シーネ)の圧迫により、しびれなどの神経障害が生じる場合もあります。

 

それらのトラブルが起きていないか、包帯交換の際は注意深く観察します。

 

 

◆先輩看護師の声

私が勤務している病院では、整形外科独特の治療方法がいくつかあるのですが、それがかなり原始的な印象でした。

 

たとえば、脚の骨折で骨の位置がずれてしまっているときに、「牽引」といって脚を引っ張る処置があります。

これは、「脚に重りをつける」という方法で行うんです。原始的ですよね(笑)

 

また、複雑骨折などの場合に、骨がずれないように手術で直接ボルトで骨を固定します。

これも原始的ですが、慣れていないときは、「痛々しいなぁ」と思うこともありました。

 

こんなふうに、整形外科は固定が多いので、患者さんが少しでも安楽に生活を送れるように、看護師はいろいろ工夫しますよ。

 

 

4)オペ出し・オペ迎え

整形外科の病棟には、周術期の患者さんが多く入院していますので、オペ出し・オペ迎えも看護師の役割です。

 

整形外科のオペ出し・オペ迎えは、外傷を伴うため装具や必要器具が多いのが特徴です。

オペ迎えのための、ベッド周りの必要物品を揃えるだけでも時間がかかるという声もありました。

 

病院によっては、術後はICU(集中治療室)に入室するという場合もあるようです。

 

 

5)予約入院・検査入院・緊急入院の受け入れ

整形外科の病棟は、基本的に急性期のため、「入退院のサイクルが速い」という声が先輩看護師から聞かれます。

入院→オペ→退院のめまぐるしいサイクルの中で、患者さんのケアを行います。

 

◆先輩看護師の声

私の勤務する病院では、「平均在院日数2週間」を目指して取り組んでいます。

この2週間の間に、手術、離床、歩行訓練、嚥下訓練…とめまぐるしいです。

 

入院してから病棟内での生活について、手術前に注意すべきこと、退院までに行うリハビリテーションなど、入院時のオリエンテーションで説明することもたくさんあります。

 

退院までの流れをイメージしてもらうことが大切なので、丁寧に説明していますよ。

 

このような、手術を含んだ予約入院のほか、病院によっては、検査入院や緊急入院の受け入れを行います。

 

 

「整形外科を極めたい!」どこで働けばいいの?

整形外科ナースとして研鑽を積みたいとき、どのような勤務先を選べばいいのでしょうか? 

 

総合的な診療が可能である大学病院、総合病院、クリニックなどのほか、スポーツによる外傷を専門にしたクリニックもあります。

 

Check!

【整形外科のある病院の種別】

・大学病院

・総合病院

・クリニック

・スポーツ外傷專門クリニック

・整形外科専門病院

 

また、クリニックや整形外科専門病院では、在籍する医師の専門分野によって対応疾患が異なります。

自分がやりたい看護がその病院でできるか、見極めることが大切です。

 

◆大学病院勤務の先輩の声

病院の種別によっても、対応する疾患の幅は変わりますが、シーズンによっても対応する患者さんの年齢層が変わるのが、整形外科の特徴です。

 

「初夏は部活動で怪我をした学生が多い」「忘年会シーズンは、酔っ払って転倒、脊椎損傷の患者さんが多い」「冬はスキーの怪我で入院」などの特徴があります。

 

私は大学病院勤務なので、基本的には高齢者の方の入院が多い印象ですが、シーズンによって若者が増えたりと不思議な環境です。
入退院のサイクルが速いので、接する患者さんの数は多く、年齢層も幅広いです。

 

 

整形外科ナースの1日ってどんなタイムテーブル?

整形外科の看護師は、どのようなタイムテーブルで1日を過ごしているのでしょう?

ナースへの取材から、日勤と夜勤それぞれのタイムテーブルをご紹介します!

 

日勤整形外科(病棟配属)ナースのある日勤

(都内460床民間病院、整形外科60床)

 

夜勤整形外科(病棟配属)ナースのある夜勤

 

 

整形外科ナースってこんなイメージ

「整形外科の看護師さん」にどんなイメージがありますか?

整形外科のベテラン看護師への取材から、イメージを作成しました!

整形外科を極めると、あなたもこんなイメージに近づくかもしれません…!?

 

  • 頭:高速回転
    整形外科は、基本的には急性期病棟であることから、入院→オペ出し・オペ迎え→早期離床→退院の流れがめまぐるしいという声がありました。そのスピードの中で転倒予防などにも気を配るため頭は高速回転。
  • 耳:コールに敏感
    ADLが低い患者さんは、病棟での生活において看護師の介助が不可欠です。転倒などにつながることがないよう、ナースコールに敏感に反応して患者さんのもとへ駆けつけます。
  • 目:退院後の生活まで見据える
    整形外科ナースは、短い入院期間の中で、手術前後の病棟生活や訓練をどのように過ごせば退院後の生活を穏やかに過ごせるかを考えます。退院後の生活まで見据えて計画を立てているのです。
  • 口:オリエン上手
    患者さんと家族にわかりやすいように、入院~退院までの流れを説明するのが整形外科ナース。オリエンテーション上手です。
  • 手:シーネ固定職人
    ベテラン整形外科ナースは、シーネや包帯固定について、職人と言っても過言でないほどの速さと正確さ。
  • 胸:鋼の精神
    多少痛みを伴う訓練を行うとき、患者さんに「痛い! 痛い! やめて!」と言われても、患者さんのADL拡大のためなら、続行する覚悟も必要です。ただ、訓練開始の30分前に痛み止めを内服してもらい、スムーズに訓練を行う、などの工夫もしています。
  • 腹:やさしさ
    整形外科病棟は、高齢者の方の入院が多い病棟でもあります。おじいちゃん、おばあちゃんが退院後の転倒などで再入院してきたときは、心から悲しむやさしさの持ち主です。
  • 足腰:歩行介助マスター
    病棟での歩行訓練・歩行介助は整形外科ナースの大切な役割。危険なくADLが向上できるように経験を積んでいきます。
  • がま口:ふつう
    お給料に関しては、整形外科勤務を理由に手当がつくことはまれなようです。

 

 

整形外科のベテランナースってこんな人!

ここまで読んで「整形外科っていいなぁ…」と思ったとしても自分の性格が整形外科に合うのかどうか、不安になった人もいるのではないかと思います。

そこで、整形外科病棟の経験が長いベテランナースへの取材と、現役で整形外科病棟で働くナースへのアンケートから、整形外科のベテランナースの特徴を独自に分析しました!

 

もちろん、整形外科勤務のナースにも色んな人がいますので、あくまで1つの参考として読んでみてください。

 

Check!

【整形外科ベテランナースの特徴】

1)説明上手

2)おしゃべり好き

3)スパルタだけどやさしい

 

1)説明上手

整形外科ナースは、主治医・PT・OT・ST、栄養士など他職種と協働する機会が多くなります。

そのため、良好なコミュニケーションは必須。

シンプルで的確な説明は「さすが」と思わせてくれます。

 

2)おしゃべり好き

整形外科の患者さんは、内臓系の疾患の患者さんと違い、外傷があるほかは元気な方の割合も多くなります。

患者さんとの雑談は、退院後の生活を見据えて看護計画を立てるうえでも重要です。

また、訓練を嫌がる患者さんを励ます機会が多いからか、明るい雰囲気をまとっています。

あっけらかんとしてコミュニケーション好きのナースが多い診療科という声がありました。

 

3)スパルタだけどやさしい

痛みのために、訓練を嫌がる患者さんもいます。

それでも早期離床をさせて、退院後の生活を穏やかに送れるように支援するのが整形外科ナースの役割です。

そんなとき、一見スパルタのように見えたとしても、それは患者さんのことを想うやさしい気持ちがあるからなんです。

 

 

整形外科ナース注目のスキルアップ資格

整形外科関連の代表的な資格をご紹介します!

 

◆老人看護專門看護師

高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために、水準の高い看護を提供する看護師を認定する資格。

(参考:日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」

 

 

整形外科ナースのキャリアプラン例

整形外科勤務、という経験からどのようなキャリアプランが考えられるでしょうか?

先輩たちのキャリアプランを聞いてみました!

 

Check!

【先輩たちの転属例】

1)呼吸器内科へ

2)療養型病床へ

3)救急へ

4)手術室へ

 

 

1)整形外科から呼吸器内科へ

整形外科に入院している高齢の患者さんは、呼吸器系の疾患を合併していることもあります。

そのような患者さんを看護しているうちに興味をもったという声がありました。

◆先輩の声

私の勤めている病院では、長期間の入院となる高齢の患者さんもいます。

高齢の患者さんの場合、長期入院中に肺炎やUTI(Urinary Tract Infection:尿路感染症)などの炎症や感染を合併する場合があります。

 

そのような患者さんを看護しているうち、呼吸器の疾患に興味をもち、呼吸器内科の病棟に希望を出しました。

内臓系を診る診療科を経験してみたいという理由もありました。

(転属時、看護師5年目)

 

 

2)整形外科から療養型病床へ

高齢の患者さんをもっと継続的に看護したいという声もありました。

◆先輩の声

整形外科に5年勤務して、高齢の患者さんが退院してはまた入院してくるのを見て、老年期のケアを極めたいなという気持ちになりました。

おじいちゃん、おばあちゃんとおしゃべりしたりケアをするのが好きなこともあり、療養型病床のある病院に移ることを決意しました。

 

転職してみて、整形外科勤務で学んだ知識が活かされていますし、自分に向いているなぁと感じています。

(転職時、看護師5年目)


 

3)整形外科から救急へ

急性期というつながりから、救急科を志望する先輩もいます。

◆先輩の声

もっと急性期を学んで極めたいと思い救急科へ希望を出しました。

整形は患者さんの出入りが激しく、さまざまな業務を並行してこなさなければならないことが多かったのですが、そういったことも得意だったので、思い切って挑戦してみました。

 

しかし、基本的には「急変」がない整形と、救急の違うところはたくさんあります。

整形とはまた違った厳しさのある現場ですが、経験を積んでいきたいです。

(転職時、看護師4年目)


 

4)整形外科から手術室へ

整形外科から手術室への転属を希望した先輩もいました。

◆先輩の声

私の勤めていた病院では、入院中の患者さんはほとんどが周術期でした。

オペオリ(オペ前オリエンテーション)で、オペナースと協働することがあり、そのテキパキとした様子に憧れていました。

 

もともと細かい作業が好きで、集中力にも自信があったので、3年目で転属希望を出しました。

無理かなぁ、と思っていたのですがちょうど人手が足りなかったタイミングだったようでラッキーでした。

(転職時、看護師3年目)

 

 

整形外科ナースのあるあるエピソード

整形外科勤務の先輩たちが経験してきた「整形外科あるある」を集めました。

整形外科の雰囲気を捉えてみてください。

 

Check!

【整形外科あるある】

・「退院したおじいちゃんが、自宅で転倒して入院しに帰ってくると泣きたくなる…」

・「ドクターの処置が豪快。『あとは任せた!』の『あと』の部分の割合が8割以上って!…」

etc・・・

 

あるある【1】退院したおじいちゃんが、自宅で転倒して入院しに帰ってくると泣きたくなる

せっかく治って退院していったのに…。おじいちゃんがまた転倒、入院しに帰ってくると哀しい気持ち胸がいっぱいになるそうです。

 

あるある【2】ドクターの処置が豪快。『あとは任せた!』の『あと』の部分の割合が8割以上って!

入院から退院までめまぐるしいのが整形外科の病棟。次々と患者さんの処置をしなければなりません。そんな中、ドクターの処置が豪快、というのも整形外科あるある。

ベテラン看護師になるほど、任される範囲が広くなるようです。

 

あるある【3】夜勤明けで疲れているとき、患者さんのほうが元気で励まされる

整形外科では、入院中の患者さんが内臓系の疾患でないため、朝からハキハキ話してくださることも。

夜勤明けでげっそりしているときなど、「昨晩も大変だったねぇ」などと声をかけてくれるのは整形外科あるある。

 

あるある【4】ナースコールというよりは、もはやトイレコールだ…

ナースコールの大半は、トイレコールというのも整形外科あるある。

「自立歩行が難しい場合は仕方がない」と達観してくるようです。

 

あるある【5】「血栓」という言葉に敏感!…

夜勤のラウンドで体位交換をしたあと、「血栓」が原因で患者さんが朝方亡くなっていたことがある、という話が語り継がれているそう。

それだけ「血栓」が怖い、というものだと肝に銘じて業務にあたっているそうです。

 

あるある【6】せん妄の患者さんを見つける達人に…

高齢の患者さんに術後せん妄が多い、というのが整形外科あるある。

知らず知らず徘徊しがちな患者さんをどこにいても素早く見つけて連れ戻します。

 

 

先輩から後輩へ!整形外科ナースを目指すあなたへのアドバイス

整形外科ナースの先輩に、新人ナースからの質問をぶつけてみました!

 

【Q1】整形外科のやりがいを教えてください。

【A】患者さんのADLが向上して、退院して元の生活を送れるようになることが、一番のやりがいです。

 

◆先輩の声

たまに…、ですけど正直、「整形ってヒマなんでしょ?」と言われることもあります。

内臓系を診ている診療科に比べて、緊迫感が薄いイメージがあるのかもしれませんね。

 

でも私は、整形は看護の力を発揮しやすい現場だと思っています。

薬に頼らず痛みを緩和する方法を考えたり、どうしたら転倒予防できるか考えたり、日々患者さんのそばにいる看護師だからこそできるケアがたくさんあるんです。

そのケアが患者さんのADLの向上と早期離床・退院につながったときはとてもうれしいです。

経験を積んで自分なりの感覚がつかめてくると、とても楽しいです。

(大学病院勤務、看護師3年目)

【Q2】整形外科は回復していく患者さんばかりの明るい雰囲気のイメージがありますが、実際はどうですか?

【A】確かに明るく、楽しい雰囲気ですが重篤な患者さんの入院もあります。

 

◆先輩の声

確かに、患者さんのADLが向上して回復していく姿を見るのとても楽しいです。

病棟も明るい雰囲気だと思います。

 

けれど、私の勤務している病院では、「骨腫瘍」や「軟部腫瘍」(筋肉にできる腫瘍)などを患っている患者さんもいらっしゃいます。

そのため、100%全員が元気で退院できるかというと、そうではありません。

これらの骨や筋肉にできるがんが原因でお亡くなりになる方もいらっしゃいます。

 

たとえば、私が診た患者さんでは、肺へ転移がありました。

転移巣の観察など、整形外科の看護師がするイメージはないかもしれませんが、こういった場合もあるんです。

終末期の患者さんのケアにどう向き合うのかを考えなければいけないという意味では、内科にも負けないという気持ちでケアにあたっていますよ。

(総合病院勤務、看護師10年目)

 

 

整形外科ナースが体験した患者さんとのエピソード

整形外科ナースとして勤務していると、どのような患者さんと出会うのでしょうか?

先輩たちに、印象深いエピソードを聞きました。

 

◆声は届く!

新人のころ、ラグビーの試合で前十字靭帯に損傷を負った19歳の青年が入院してきました。

ラグビーにすごく情熱を燃やしていて、社会人になっても続けたいと思っていたそうですが、選手生命を脅かすほどの大ケガ。

本人はすっかり意気消沈してしまっていましたが、ナースみんなで「これからずっと走れなくなるわけじゃないからがんばろう」と励ましていました。

 

最初はまったく聞く持たずでしたが、次第に私たちの言葉に耳を傾けてくれて、OT・PTさんたちと一生懸命リハビリをしていました。

 

私たちもできるだけのケアと励ましをしていました。

ラグビーをすることはもうできなくなってしまいましたが、私たちの関わり方で患者さんのモチベーションが変わるんだってわかりました。

人の言葉ってすごいですね。

スポーツ外傷專門クリニック、看護師1年目のときの体験談/L.Mさん、現在同病院5年目)

 

◆バイオハザード?

整形外科に配属になって3年くらいしたときのことです。

夜勤をしていると、ふと何かがバサッと倒れるように病室から出てきたんです。

一瞬、映画『バイオハザード』に出てくるアレを連想してしまい、正直凍り付きました。

でもよく見ると、頸部骨折で入院したおばあちゃんでした。トイレに行きたくなって、4点柵のベッドから抜け出してしまったそうでした。

 

トイレに行きたくて、でも行けなくて。深夜だからナースコールを押すのも忍びなかったそうで。

普段は歩行補助をしているのですが、「いつも迷惑かけて、悪いと思ってて」とかわいらしいく謝るおばあちゃんを見て、ラウンドの時間じゃなくても、もっとしっかり状態観察してあげないと、と思いました。

(総合病院、看護師3年目のときの体験談/M.Eさん、現在同病院4年目)

 

いかがでしたか?

整形外科ナースのお仕事について、具体的にイメージするためにお役立ていただければと思います!

 

(文)看護roo!編集部、新田哲嗣

(イラスト)明(みん)

 

 

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