認知症とは・・・
認知症(にんちしょう・Dementia・Demenz)とは、一旦正常に発達した「記憶」「学習」「判断」「計画」といった脳の知的機能(認知機能)が、後天的な脳の器質障害によって持続性に低下し、日常や社会生活に支障をきたす状態をいう。かつて痴呆症と言われていたが、2004年に厚生労働省にて認知症への言い換えが決定された。認知症は、高齢化がすすむに従って急増しており、現在は65歳以上の10人に1人、85歳以上では3〜5人に1人が認知症である。
分類
高齢者に生じる認知症のほとんどは、加齢による脳の病的な老化に関するもので2種類に分類される。
変性性認知症
・脳実質の変性で生じる
・アルツハイマー型認知症、Lewy小体型認知症、前頭側頭葉型認知症など
脳血管性認知症
早期治療によって劇的に認知症が回復する場合があり、このような認知症を、治療可能な認知症(treatable dementia)という。治療可能な認知症の例として、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫などが挙げられる。
認知症患者を診たときは、問診と改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMini Mental State Examination (MMSE)といった認知機能検査を行った後に、採血や画像診断から治療可能な認知症を見つけ出すことが大切である。
症状
大きく、中核症状と行動・心理症状(behavioral and psychological symptom of dementia :BPSD)に分けられる。
中核症状
・脳障害により直接おこる症状で認知症患者に必ず認められる
・記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、遂行機能障害など
BPSD
・中核症状に付随して引き起こされる二次的な症状
・不眠、徘徊、幻覚、妄想など
・中核症状よりも患者や家族の悩みや負担の原因となる場合が多いが、適切な治療や対応で症状の改善は期待できる
治療
変性性認知症に対しては、主に塩酸ドネペジルなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害薬が使用される。脳血管性認知症には脳梗塞再発予防として、血圧コントロールや抗血小板薬、抗凝固薬、糖尿病治療などが行われる。