最終更新日 2018/01/29

硬膜下血腫

硬膜下血腫とは・・・

硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ/SDH/subdural hematoma/サブデュラ/サブドラ)とは、主に動脈や架橋静脈が損傷、断裂し、硬膜下腔に出血を起こし硬膜とくも膜の間にある硬膜下腔に血液が貯留した病態のことである。動脈破綻によるSDHは全体の20~30%である。原因としては頭部外傷が多く、高齢、脳腫瘍(脳動静脈奇形、髄膜腫、転移性脳腫瘍など)、血液凝固異常(抗凝固薬内服)、新生児や小児の虐待などもある。低髄圧により発症する例もある。

 

頭部CTで脳表にそった三日月型の出血像を認める。発症1~2日以内の急性硬膜下血腫と15日以上の慢性硬膜下血腫があるが、発症時期のみでなく、臨床像も大きく異なる。

 

急性硬膜下血腫(ASDH/acute subdural hematoma)

・半数は受傷直後から意識障害がみられるが、意識清明である症例も血腫が増大すると急激に意識レベルが悪くなることがある(lucid intercal)。頭部外傷によるものが多く、脳挫傷をしばしば合併する。
・頭部CTでは高吸収域を呈する。
・緊急での開頭血腫除去術と、出血点の同定、止血が必要となるが、予後は不良で死亡率は40~60%、昏睡症例では60%以上とされる。

 

慢性硬膜下血腫(CSDH/chronic subdural hematoma/まんこう)

・比較的軽微な外傷を契機に硬膜下腔に出血を起こしたものが、3週間~数か月の期間をかけて徐々に増大し、頭痛、認知障害、尿失禁、片麻痺や歩行障害といった症状を呈する。
・頭部CTでは三日月型の出血像を認めるが、出血からの時間経過により高吸収から低吸収まで様々な像を呈する。
・症状を認めない場合は注意深く経過をみて血腫の吸収を待つが、神経症状を呈する場合は穿頭ドレナージ術を行う。ドレナージにより症状はほぼ改善する。

執筆: 石田 光

元 神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター

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