最終更新日 2019/04/01

耳とは・・・

耳(みみ、ear)とは、聴覚と平衡感覚を司る器官である。外耳・中耳・内耳の3つの部分からなる。

 

構造(図1)

図1耳の構造
耳の構造のイラスト。耳は外耳・中耳・内耳からなる。

 

(1)外耳

外耳は、耳介と外耳道からなり、音を中耳に導く役割を持つ。
耳介は主に軟骨からなり、筋肉および皮膚に覆われている。周囲の音を集める集音器としての役割や、音源の位置を感知する方向覚の役割も担う。外耳道は外耳孔と鼓膜をつなぐ管状部分であり、外側3分の1は軟骨で、内側3分の2は骨で囲まれている。

 

(2)中耳

中耳は、鼓膜と鼓室、耳小骨、耳管からなる。
鼓膜は外耳と中耳を隔てる膜であり、皮膚層、固有層、粘膜層の3層からなる。鼓膜の内側には、粘膜で覆われた空洞状の鼓室があり、耳管で咽頭とつながっている。耳管は外耳と中耳に生じた気圧差を解消する機能や、中耳の異物や分泌液の排泄、感染防御の機能を持つ1)

 

鼓膜には耳小骨と呼ばれる3つの骨がつながっており、鼓膜側からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨という。音によって鼓膜が振動すると、これら3つの耳小骨が連動し、アブミ骨から蝸牛の前庭窓を通り、音が内耳に伝わる。その際、耳小骨のテコの作用と、鼓膜と前庭窓の面積比(17:1)によって、音圧(空気の振動)は約22倍に増大するため、小さな音も内耳へ伝わっていく2)。一方で、大きすぎる音によって耳小骨が過剰に動かないように、耳小骨についている耳小骨筋は動きを抑制する役割を持つ。

 

(3)内耳

内耳は、骨迷路と膜迷路からなる。骨迷路は側頭骨錐体部に位置する複雑な孔で、膜迷路はその内側を通るほぼ同じ形の膜である。

 

骨迷路は前庭、三半規管、蝸牛からなる。耳小骨によって伝わった振動は、前庭窓(前庭の外壁であり、アブミ骨につながっている)を経て、内耳の蝸牛のリンパ液に伝わる。その後、振動は音を感知するラセン器の有毛細胞で電気信号に変わり、中枢神経・に伝わる。

 

内耳は、聴覚とは別に平衡感覚の器官でもあり、三半規管が頭の回転を感知し、前庭が頭の傾きを感知する3)

 

引用参考文献
1)小松浩子ほか.耳咽喉・頸部の構造と機能.系統看護学講座 専門分野Ⅱ 成人看護学14.第12版,株式会社医学書院,2013, 22-27.(ISBN9784260015769)
2)秋澤忠男ほか.耳小骨.南山堂医学大辞典.第20版,南山堂,2015,1019(ISBN9784525010805)
3)坂井建雄ほか.情報の受容と処理.系統看護学講座 専門基礎分野 人体の構造と機能[1]解剖生理学,第9版,株式会社医学書院,2014,437-442.(ISBN9784260018265)

執筆: 水 大介

神戸市立医療センター中央市民病院  救命救急センター医長

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