小児科看護師のお仕事とは?
現役ナースへのインタビュー・アンケート取材から、小児科ナースのお仕事について紹介します。
診療科別・ナースのお仕事カタログ【1】
小児科の看護師のお仕事とは?
◆目次
小児科ナースの役割
小児科のナースには、どのような役割があるのでしょう?
ここでは、特徴的な役割や、よく行う手技等をご紹介します。
1)0歳~成人までのケア
小児科ナースの役割で一番特徴的なことは、0歳~成人(※)という「幅広い年齢の子どものケア」を行うことです。
幅広い年齢の子どもたちをケアできるように、身体機能の成長段階について、認知力などの発達段階について、変化の大きい期間について網羅的な知識が必要です。
病院によっては、15~16歳まで、または18歳までを原則としているところもあります。
逆に、脳性麻痺などの先天性疾患などで、小児科の医師が継続して主治医となっている場合、20歳を超えても小児科に入院する患者さんもいます。
このように小児科ナースの行うケアは「授乳」から「思春期の子どものメンタルケア」まで、年齢層が幅広くなることが特徴です。
(※小児科の範囲となる年齢については、病院によって差異があります。また、日本小児科学会からは「成人するまで」を対象年齢とするという提言が発表されています)
2)処置前後のプレパレーション
プレパレーションとは、検査や処置について実施前にその意味や方法などを保護者と子ども本人に具体的に説明することです。
絵や人形を使って説明することも試みられています。
また、最近では、動画を使った説明グッズも商品化されているそうです。
子どもの中には、年齢(発達段階)によって、自分がどうして入院しているのか、どうして治療を受けなくてはいけないのかを理解していない場合もあります。
理解をしていても、「自分が病気であること」を受け入れることができず、精神的に不安定になる場合も少なくありません。
そのような子どもたちが安心して治療に取り組めるように、プレパレーションを行うことは小児科看護師の重要な役割です。
◆先輩の声(1)
プレパレーションが必要となる場面は、「採血」はもちろん、部屋が暗くなる「単純X線検査の際」のときも行います。
部屋が暗いだけで怖がってしまう子も多いので、検査室に送り出すときに安心させるように説明していますよ。
「心電図」の電極を貼り付けているときに、「ぼく…、改造されちゃうの…?」と不安を訴えてきた子どもがいました。仮面ライダーを想像したんでしょうね(笑)。
そこで、一旦電極を外して、心電図についてわかりやすく説明をしました。そうしたら安心してくれて嬉しかったですね。
◆先輩の声(2)
プレパレーションは、英語では「準備」という意味ですが、私たちは「処置が終わったあとのフォロー」まで含めて「プレパレーション」と呼んでいます。
たとえば、注射を嫌がる子どもが処置を終えられたときに、「よく頑張ったね」と褒めてあげることも重要なケアなんです。
褒めることによって、子どもは自己肯定感を抱くことができ、次のステップへ進むことができます。
入院中であっても、子どもは日々成長しているので、精神面の成長に寄り添えるように、支援できるように関わるように心がけています。
治療の完遂だけでなく、入院中に子どもが「成長したなぁ」と実感できると、看護師としてのやりがいも感じられます。
そのほか、処置やお薬に関して、
「注射→ちっくん」「吸入→もくもく」「シーネの固定→シールぺったん」「内服→お薬」「聴診→もしもし」など、わかりやすい言葉で表現して伝えているという工夫も聞かれました。
3)インフォームド・アセントを含む家族ケア
小児科では、子どものケアと同時に、家族に対するケアも大切です。
親や保護者と適切にコミュニケーションをとり、不安を和らげたり、在宅でのケアの方法(喘息発作時の吸入器の使い方、経管栄養で食事をとらせる手技など)を伝えることも、看護師の重要な役割です。
また、治療方針についての医師からの説明を補助したり、質問に答えることもあります。
このとき、親の意見ばかりが尊重され、子どもの意見がなきものとされないようにする考え方が「インフォームド・アセント」です。
「インフォームド・アセント」とは、これから実施する行為等について、医療従事者が子どもに理解できるよう分かりやすく説明し、その内容について子どもの納得を得ることを指しています。
アメリカ小児科学会によると、インフォームド・アセントの実践に必要な要素は以下の4点です。
(1)子どもたちが自分の症状について発達段階に適した理解が得られるよう支援する
(2)なされる検査や処置の内容とその結果について子どもに説明する
(3)子どもの状況理解や反応に影響を与える要素について臨床的に査定する
(4)提案されたケアについて自発的に子どもが納得しているか否かを表現できるよう工夫する
親の不安や意見に気を配りつつ、子どもの意思も大切にできるように関わり支援することが、小児科ナースの大切な役割です。
4)NICU、GCU、PICUへのヘルプや、他科のコンサルテーション受診
総合病院や、大学病院で、NICU、GCU、PICU、小児外来が稼働している場合は、人手が足りないとき、緊急のときにヘルプに行くという声もありました。
NICU:Neonatal Intensive Care Unit(新生児特定集中治療室)
GCU:Growing Care Unit(継続保育室、回復治療室、発育支援室など)
PICU:Pediatric Intensive Care Unit(小児集中治療室)
ただ、小児科のナースは授乳などの技術があるとはいえ、NICUや小児外来では、また別個に必要な知識や技術があります。
そのため、ヘルプに駆り出されるとしても、ベテランナースがほとんどのようです。
また、小児科に入院している子どもたちについては、他科のコンサルテーションが必要となる場合もあります。
入院中に潰瘍ができてしまった場合は皮膚科のコンサルテーションを受ける、眼の異常が出てきてしまったら、眼科のコンサルテーションを受けるといった具合です。
コンサルテーション自体は、医師間で行われますが、そのスケジュールを把握・調整し、子どもに説明をしたりほかの処置やケア・検査のスケジュールを組み立てるのは看護師の役割です。
小児科ナースの1日ってどんなタイムテーブル?
小児科の看護師は、どのようなタイムテーブルで1日を過ごしているのでしょう?
小児科病棟勤務の看護師、日勤・夜勤それぞれのタイムテーブルをご紹介します!
日勤小児科(病棟配属)ナースのある日勤
(都内、約300床の民間病院、小児科病床30床の場合)
夜勤小児科(病棟配属)ナースのある夜勤
小児科ナースってこんなイメージ
小児科の看護師さんってどんな感じなんでしょう?
現役ナースの方々への取材・アンケートからイメージを作成しました!
実は、「優しい」「子ども好き」だけでは務まらないようです。
- 頭:お母さんと先生(と看護師)の1人3役!
お母さんのように子どもの様子に気を配り、慈しむ心と、学校や保育園の先生のように教え諭したり、成長を促す関わりをする厳しい側面と、そして看護師として医療面をケアする役割と、1人3役を使い分けているようです。 - 耳:泣き声を察知
子どもの泣き声を察知して駆けつけます。泣き声に慣れてまったくイライラしなくなる…、という声も。 - 目:成長を見守る長期目線
入院しているときだけが子どもの生活ではないことを、小児科のベテランナースは常に意識しています。学校や保育園に帰ったあとの生活において、患児にとって必要なことは何かを長期目線で考えて、看護計画を立てケアにあたっています。 - 口:優しく&厳しく
基本的には優しく明るい口調が印象的な小児科ナース。でも、「悪いこと、してはいけないこと」を伝えるときの口調は厳しいんです! - 手:手作り大好き
ちょいちょいっと、包帯のうえに子どもの好きなイラストを描いてあげたり、プレパレーションで使う説明用パンフレットを作ったり、イベント用の仮装グッズを作ったり、手作り好きのナースが多いようです。 - 胸:子どもへの愛情
子どもに深い愛情をもっていることが、なんといっても小児科ナースの特徴。厳しい口調になるときもあるけれど、それも子どもを想う気持ちがあってこそなんです! - 腹:腹筋強め?
子どもとともに毎日笑いあって腹筋がついている!?…かはわかりませんが、笑いが絶えない病棟です、という意見が聞かれました。 - 足腰:スピーディ
あちこちはしゃぎまわる子どもがいても、すぐに追いつくスピード感。 - がま口:ふつう
小児科ナースに特別な手当はありません。しかし、小児専門看護師の資格を持っていると「専門看護手当」が付く病院もあるようです。
小児科のベテランナースってこんな人!
ここまで読んで「小児科っていいなぁ…」と思ったとしても自分の性格が小児科に合うのかどうか、不安になった人もいるのではないかと思います。
そこで、小児科病棟の経験が長いベテランナースへの取材から、特徴を独自に分析しました!
元々の性格と、小児科経験の長さから培われた特徴の両方を読んでみてください。
あなたも小児科を極めると、こんな人になるかも…。
もちろん、小児科勤務のナースにも色んな人がいますので、あくまで1つの参考として読んでみてください。
Check!
【小児科ベテランナースの特徴】
1)子どもとコミュニケーションをとるのが好き
2)忍耐力がある
3)話し方の抑揚が大きい
1)子どもとコミュニケーションをとるのが好き
よく「子ども好きだけでは小児科ナースは務まらない」といわれますが、小児科ナースに話を聞いていると、「子どもそのものが好き」かどうかよりは、「子どもとのコミュニケーションを楽しめるか」が重要だとわかります。
プレパレーションや、インフォームド・アセントだけでなく、日頃いかに子どもとうまくコミュニケーションをとり、信頼関係を築くかが看護ケアを成功させる鍵のようです。
疾患による症状に苦しんでいたり、治療やケアを嫌がったり、ときには甘えたりする子どもと、上手にコミュニケーションをとる「コツ」をたくさん知っている、それが小児科のベテランナースのようです。
2)忍耐力がある
「何をするにも、大人よりずーっと時間がかかる」。取材の中で、小児科ナースからこの言葉が何度も聞かれました。
子どもは大人のようにすんなり処置やケアをさせてくれません。
「注射を1本するのにも泣き喚いて、説得に半日がかり」 「午前中嫌がってどうしても無理だったから、午後の機嫌が良いときに再チャレンジしよう」 「…と思ったらお昼寝しちゃってて無理だった…」というようなことは日常茶飯事。
忍耐力をもって、どんな状況でも柔軟に対応できる切り替えの速さや機転が大切です。
3)話し方の抑揚が大きい
小児科のナースは、「やさしい口調」というイメージがあるかもしれませんが、取材を重ねていくと、単純に優しい・やわらかい、というよりは、「ゆっくりと、抑揚が大きくハッキリ話す人が多い」という印象があります。
子どもにとって初めて聞く治療・ケアについての説明を少しでもわかりやすくするために、そのような話し方になっていくのかもしれません。
話をしているとすっかり聞き入ってしまうほど、話が上手な小児科のベテラン看護師の方々がいらっしゃいました。
聞いてみると、「説明する機会が多いので…」ということでした。 不安を抱えている子ども・親(保護者)にとって、安心できる口調を心がけているとのことです。
小児科ナース注目のスキルアップ資格
小児科ナースにはさまざまな資格取得のチャンスがあります。
代表的な3つの資格をご紹介します。
1)小児看護専門看護師
「子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する」という役割を担います。
(参考:日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」)
2)小児救急看護認定看護師
「救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施」「育児不安・虐待への対応と子どもと親の権利擁護」などの知識と技術をもつ看護師を認定する資格です。
(参考:日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」)
3)新生児集中ケア認定看護師
「ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防」「生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援」などの知識と技術をもつ看護師を認定する資格です。
(参考:日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者」)
小児科ナースのキャリアプラン例
小児科勤務、という経験からどのようなキャリアプランが考えられるでしょうか?
先輩たちのキャリアプランを聞いてみました!
1)小児科→小児科
小児科は一度経験するとその後も一環して小児看護領域で極めていく、という先輩も多いようです。 「小児看護と成人看護はまったく別物」という意見も聞かれました。
◆先輩の声
新卒から小児科病棟で勤務していました。
小児看護の分野でさらに幅を広げたい、5年目勤めたのを機に小児救急がある病院に移りました。 そこの外来や救急外来で、どんな疾患にも対応できるように研鑽を積んでいます。
成人も一度は経験したほうがいいよなぁ、と思いつつ今の勤務がとても充実しているので、しばらくは小児を極めていこうと思います。
(転職時、看護師5年目)
2)小児科→整形外科
子どもが好きという気持ちから、逆に小児科病棟を離れたという声もありました。
◆先輩の声
子どもが好きで、新卒時に小児科に配属希望を出しました。
2年勤務する中で、子どもが泣いたり怖がったりするのを見るのがつらくて…、どうしても優しく甘やかしてしまうばっかりになってしまいました。
先輩に「叱ることも大切だよ」と指導されていたのですが、自分には向いてなかったです。 いま勤務している整形外科には、高齢の患者さんが多く自分にはこちらのほうが看護師としてスキルアップできるなと思っています。
(転属時、看護師2年目)
3)小児科→呼吸器内科
小児科には、喘息、気管支炎、肺炎など呼吸器疾患の患児の入院が多いといいます。 そのことから、呼吸器内科に転属した先輩がいました。
◆先輩の声
私が勤めていた小児科病棟には、呼吸器疾患の患児の入院がとにかく多かったんです。
呼吸状態の変化を観察したり、吸入薬の吸入を手伝ったりする中で、呼吸生理の勉強をするようになりました。
子どもも好きですけど、成人看護もやってみたいなぁと思っていたところで、呼吸器内科へ転属希望を出しました。
(転属時、看護師6年目)
4)小児科→訪問看護
小児科病棟で急性期の治療を終えたあと、慢性期の療養場所として、在宅へ帰る患児もいます。在宅で「人工呼吸器」や「経管栄養」「たんの吸引」などの医療的ケアを常時必要としている子どもは、全国に1万人以上いるというデータもあり、その子どもたちの看護ケアを行うために訪問看護師を目指す先輩もいました。
◆先輩の声
とにかくずーっと小児科病棟で勤めてきて、外来も救急も一通りやりました。
一時期、NICUも経験しました。
いろんな子どもや赤ちゃんを看てきましたが、重症度が高くて在宅でケアが必要な子どもたちは、親御さんたちがほとんどつきっきりで介護してるんですよね。
私もベテランになったし、訪問看護でそういう子ども・親の役に立てたらと思い、転職したんです。
(転職時、看護師17年目)
小児科ナースのあるあるエピソード
小児科勤務の先輩たちが経験してきた「小児科あるある」を集めました。
小児科の雰囲気を捉えてみてください。
Check!
【小児科あるある】
・「ナースコールで甘えられるとキュンキュンがとまらない!」
・「ケアしたいときにかぎって、お母さんと一緒にお昼寝タイム…」
etc・・・
あるある【1】ナースコールでかわいく甘えられると、キュンキュンが止まらない!
ナースコールで何かなと思うと「トントンしてくだしゃい」という声が。
かわいくてキュンキュンが止まらない、という先輩ナースの声がありました。
2、3歳の子に言われるのは「あるある」とのこと。
そのほか、眠れない子は、「お家に帰りたい」「ママがいい」と、ぐずる子も。
その場合はベビーカーに乗せて、ナースステーションで落ち着くまでそばにいるなどの対応をするそうです。
あるある【2】ナースコールの内容が予想外でびっくり…(笑)
子どもが鳴らすナースコールの内容にびっくりするのも「あるある」。
「この本読んで!」「塗り絵出来たよ!」とか「パズル出来たよ!」などの報告が多いそうです。
ナースに見てほしいんですね。
そのほか、看護師にお手紙を書いて、「お手紙書けたー!」とコールで呼んで渡してくれる子も。
5、6歳の子が「僕、◯◯さん(看護師)のことを好きになってしまったかも!」とナースコールで伝えてきて笑いました、という先輩もいました。
あるある【3】赤ちゃんの抱っこや授乳がうまいナースマンを見ると、未来の奥さんがうらやましくなる。
小児科勤務のナースマンは、おむつ交換、寝かしつけ、沐浴、授乳…などお手の物。
将来はイクメン確実!? 子育てに協力的な旦那さんになりそうでいいなぁとうらやましくなるのも「あるある」ということです。
あるある【4】ケアしたいときにかぎって、お母さんと一緒にお昼寝タイム……
子どもと一緒にお昼寝しているお母さんを見かけるのも「あるある」。
子どもが入院しているときには、お母さんは気を張っているもの。
ケアしたくても、起こすに起こせなくなるそうです。
3~5歳の子どもは特に、「午後は昼寝しているもの」としてケアのスケジュールを立てるのも「小児科あるある」
あるある【5】子どもが寝ているときの吸入で自分もウトウト…。
起きていると何をするにも嫌がってしまう子どもの処置は、寝ている間にするのも「あるある」。
夜中の病室で、吸入薬をシュコーシュコーと口に当てながら、自分もついついウトウト…!?
あるある【6】男の子同士のバトルを仲裁
年齢が近い男の子が同室になると、ケンカに発展するのも「あるある」。
その仲裁をするときに小児科ナースは学校の先生のような役割になります。
あるある【7】プニプニして肉付きが良いため、点滴漏れがわかりにくい
子どもならではのプニプニした腕が大好きという小児科ナースも。
しかしその肉付きのために、点滴漏れがわかりにくいのも「小児科あるある」。
あるある【8】子どもが暴れているとき、副子(シーネ)が武器になる。
子どもは関節が柔らかく、体動により点滴が抜けやすいので、点滴中も副子(シーネ)を付けることがあります。
服薬や清拭を嫌がって暴れたときに、子どが無意識に看護師をシーネでガンガン叩いてくることがあり、とても痛いのも「小児科あるある」。
あるある【9】検査にやたらと時間がかかる…
「何をするにも時間がかかるんです…」という声が数多く聞かれました。
緊急で検査が必要な場合、検査前に鎮静剤でウトウトさせてから検査を行うという意見も。
大人と違って何をするにも時間がかかるのが小児科「あるある」です。
そのほか…
・イラストや工作がやたらとうまくなる。
・アニメ、ゲーム、戦隊ものの知識はハンパない。
・部屋に入った瞬間にギャン泣きされる看護師が病棟に1人はいる。
・「勉強教えて」と言われて教科書を見たら、問題が難しすぎて固まった。
先輩から後輩へ!小児科ナースを目指すあなたへのアドバイス
小児科ナースの先輩に新人ナースからの質問をぶつけてみました!
【Q】小児科で勉強しなくてはいけないことはどんなことですか?
【A】全身の解剖生理、子どもの発達段階、家族ケアなどとにかく幅広いことが小児科の特徴です。
◆先輩の声
「16歳以下である」という理由で、疾患の種類にかかわらず、あらゆる状態の子をケアするのが小児科の特徴です。
そのため、全身の解剖生理はもちろん、子どもによくある疾患など、勉強するべき範囲は広いです。
それに加えて、年齢もまちまちですから、その年齢の子どもの理解度がどの程度なのか、情緒的発達がどの程度なのかを把握・理解してコミュニケーションをとる必要があります。
発達段階の勉強もなかなか奥深い分野ですよ。
何気ない雑談の中で、家族の不安のケアも行いますし、子どもだけと接していればいいというわけでもありません。
実は私はあまり勉強は得意ではないんですが(笑)、それでも子どもがかわいいので、子どものために頑張りたいという気持ちで、日々学んでいます!
(大学病院、看護師4年目)
小児科ナースが体験した患者さんとのエピソード
小児科ナースとして勤務していると、どのような患者さんと出会うのでしょうか?
先輩たちに、印象深いエピソードを聞きました。
◆母の心看護師知らず?
4歳で川崎病を患った子を受け持ったときの話です。
子どももさることながら、母親が元看護師だけにとても医療方針にこだわりがある方でした。
聴診、心電図、胸部X線、断層心エコーなど、あらゆる資料についてドクターより先に勝手に分析を始めるほどです。
標準的な治療方針に決まっても、そこに異を唱えたりなどは日常茶飯事でした。
最初は本当にうるさい、モンスターペアレンツのように思いました。
でも寝ているお子さんの横で静かに泣いている姿を見て、驚きました。
このお母さんは不安なだけだったのです。
そう知って、よりお母さんとしっかり話すようにしていきました。あのとき、気が付かないままでいたら、私は小児科に通う母親の本心に気づけないままだったかもしれません。
(総合病院、看護師2年目のときの体験談/K.Aさん、現在同病院10年目)
◆天使になったあの子に誓う
4年ほど前、私が小児救急外来に勤め始めた頃のことです。
それまで新卒からずっと小児病棟に勤務していたのですが、救急外来に出始めたばかりのとき、1人の赤ちゃんが運ばれてきました。
意識がない状態。お母さんが横で真っ青になって震えていました。
酸素マスク、点滴などすぐに処置が始りましたが、手遅れでその子は天使になりました。
「乳幼児突然死症候群」でした。
駆け付けたお父さんにもたれるように、お母さんが崩れ落ちていく姿を見て、私は本当に無力感を感じました。
普段看ている子どもは、かわいく元気いっぱいです。
でもこんなに儚く、旅立ってしまうこともあるのです。
だからこそ、毎日毎日、看護の力を磨いていこうと誓った出来事でした。
(大学病院、看護師8年目のときの体験談/S.Oさん、現在同病院6年目)
いかがでしたか?
小児科ナースのお仕事について、具体的にイメージするためにお役立ていただければと思います!
(取材・文)看護roo!編集部、新田哲嗣
(イラスト)明(みん)
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