全身性硬化症とは・・・
全身性硬化症(ぜんしんせいこうかしょう、progressive systemic sclerosis;SSc)とは、全身性の結合組織の疾患で、皮膚や内臓の線維化、血管障害を特徴とする。全身性強皮症とも呼ばれる。
中年女性に好発し、小児での発症は稀である。
症状
初発症状としてはレイノー現象、四肢末端の浮腫(手指はソーセージ様腫脹)、手指の肥厚、不定の関節痛を認める。また進行すると皮膚硬化は手指から手背、上腕、躯幹と体の中枢側に向かって広がる。多発関節痛、溶骨などの骨関節症状は症例の76%以上に見られる。他には間質性肺炎、肺高血圧症、消化管の蠕動運動の低下、心外膜炎、不整脈、心不全、腎障害(強皮症腎)による悪性高血圧などが見られる。
検査・診断
日本皮膚科学会「全身性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」(2016年)の診断基準に準ずる。
(1)大基準
両側性の手指を越える皮膚硬化
(2)小基準
1)手指に限局する皮膚硬化2)爪郭部毛細血管異常
3)手指尖端の陥凹性瘢痕、あるいは指尖潰瘍
4)両側下肺野の間質性陰影
5)抗トポイソメラーゼⅠ(Scl-70)抗体、抗セントロメア抗体、RNAポリメラーゼIII抗体のいずれかが陽性
(3)除外基準
以下の疾患を除外すること 腎性全身性線維症,汎発型限局性強皮症,好酸球性 筋膜炎,糖尿病性浮腫性硬化症,硬化性粘液水腫,ポ ルフィリン症,硬化性萎縮性苔癬,移植片対宿主病, 糖尿病性手関節症,Crow-Fukase 症候群,Werner 症 候群
(4)診断の判定
大基準、あるいは小基準1および2~5の1項目以上を満たせば診断となる。
治療法
全身性硬化症の症状はさまざまであるため、治療は主に生活指導、理学療法、薬物療法を組み合わせて行う。生活指導では、保温、栄養、皮膚の保護、感染予防、禁煙などが挙げられる。理学療法では、拘縮予防および筋力増強を目的として行われる。薬物療法は対症療法で、皮膚硬化に対してステロイド少量内服、間質性肺炎に対してシクロフォスファミド使用、胃食道逆流症に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)内服などがある。生命予後に直結する肺高血圧症については早期から血管拡張薬を使用する。