拘縮とは・・・
拘縮(こうしゅく、contracture)とは、手指・手・肩・肘・股・膝・足関節などが関節周囲組織の器質的変化により、関節可動域が制限された状態のことである。
関節拘縮は病変部位別に分類されるHoffaの分類がよく用いられる。これによると、関節性、靭帯性、筋肉性、腱性、皮膚性の5つに分類され、関節周囲にある軟部組織の短縮や炎症後の癒着により、関節可動域が障害され、拘縮を起こすと考えられている。
なお、“強直(きょうちょく)”は、関節部の骨および軟骨の変形や癒着が原因で、関節可動域制限が生じている状態のことである。
しかし、現在も関節拘縮の詳細な病態は不明であり、障害されている病変部位を明確にすることは困難である。よって、臨床の場では、発生原因ごとの分類の方が有用である。下記に代表的な拘縮パターンを示す。
特発性の関節拘縮
肩関節でよくみられるが、原因が不明で、すべての方向(前方屈曲、外旋、内旋動作など)の可動域制限があり、既知の疾患が除外されたものである。つまり、原因究明はできていないが、関節拘縮を生じている状態のことである。
外傷性・術後の関節拘縮
骨折や筋挫傷、関節包の損傷の修復過程での癒着、長期間の安静・固定期間による周囲軟部組織の短縮などが起こり、関節拘縮を起こした状態のことである。
廃用による関節拘縮
基本的には起居・移乗・洗顔・排泄・入浴などの基本的な生活動作の繰り返しで、筋力や関節可動域は保たれる。しかし、脳疾患や、血管疾患、筋力低下が原因で、安静・臥床時間が増えたために、本来の関節可動域を維持する生活が困難になり、多部位の関節拘縮を生じている状態のことである。