最終更新日 2018/04/05

全身性自己免疫疾患

全身性自己免疫疾患とは・・・

全身性自己免疫疾患(ぜんしんせいじこめんえきしっかん、systemic autoimmune disease)とは自己免疫疾患による障害が全身に及ぶ状態の総称である。

本来、外的要因(細菌、ウイルスなど)から体を保護するために働く免疫システムは外来抗原にのみ反応し、自己抗原には反応しない。しかしながら、遺伝的背景や環境因子などをもとに、自己抗原に対する抗体が産生され、自身の臓器を障害することがある。その状態を総称して自己免疫疾患と呼ばれる。

自己免疫疾患は、全身のさまざまな臓器に病変が見られる全身性自己免疫疾患と、特異な臓器にのみ病変が発症する臓器特異的自己免疫疾患に分類される。全身性自己免疫疾患は関節リウマチ全身性エリテマトーデス多発性筋炎/皮膚筋炎シェーグレン症候群、全身性強皮症、血管炎症候群混合性結合組織病などの膠原病が主に含まれる。

例えば、関節リウマチはリウマトイド因子、抗CCP抗体などの自己抗体が出現し、慢性的な多発関節炎を特徴とする疾患である。

全身性エリテマトーデスは、抗核抗体、抗二本鎖DNA抗体、抗Sm抗体等の自己抗体が出現し、発熱や倦怠感などの全身症状に加え、頭痛、痙攣、精神症状などの神経精神病変、網膜症などの眼病変、胸膜炎や腹膜炎などの漿膜炎、著明なネフローゼ症候群と関連するループス腎炎、汎血球減少や溶血性貧血などの血球異常、蝶形紅斑やディスコイド斑、無痛性口腔内アフタなどさまざまな皮膚粘膜病変と全身性に多彩な臓器障害を呈する疾患である。

また、多発性筋炎/皮膚筋炎は抗ARS抗体、抗TIF1-γ抗体、抗Mi2抗体、抗MDA5抗体などの自己抗体が関連し、近位筋有意の筋力低下や四肢体幹の皮膚症状を来す。

さらに、全身性強皮症は手指を中心に皮膚硬化を特徴とする疾患だが、抗Scl-70抗体陽性症例では手関節を超える広範囲の皮膚硬化と内臓障害を、抗セントロメア抗体では手指に限局する皮膚硬化を認め内臓障害も軽微なことが多い。全身性強皮症でみられる内臓障害には間質性肺炎や肺高血圧症、消化管障害などがある。

執筆: 佐藤洋志

東邦大学医学部 内科学講座膠原病学分野助教

執筆: 南木敏宏

東邦大学医療センター大森病院 膠原病科教授/診療部長

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