抗Sm抗体とは・・・
抗Sm抗体(こうえすえむこうたい、anti-Sm antibody)とは、抗核抗体群の一種である。全身性エリテマトーデス(SLE)に見られる特異的な自己抗体とされる。
抗Sm抗体の名は、1966年にSmithという名の全身性エリテマトーデスの患者血清から見出されたことに由来する。
抗核抗体は、自己の細胞核を構成する成分に反応する自己抗体である。
抗Sm抗体の対応抗原分子は、核内低分子リボヌクレオタンパク質(snRNP)のU1-RNP・U2-RNP・U4/6-RNP・U5-RNPである。また、間接蛍光抗体法では斑紋型を示す。
臨床
全身性エリテマトーデスでは、抗Sm抗体以外にも、抗ds-DNA抗体、抗ss-DNA抗体、抗U1-RNP抗体などの他の自己抗体を認めることもある。しかし、これらは他の疾患でも陽性となりうる。
これと比べて抗Sm抗体は、全身性エリテマトーデスに対しての検出率は低いが、他の疾患ではほとんど検出されず特異度は非常に高い。そのため、抗Sm抗体は全身性エリテマトーデスに特異的な自己抗体であると考えられている。
混合性結合組織病と全身性エリテマトーデスは臨床症状が重複するため、その鑑別には抗Sm抗体が有用である。また、全身性エリテマトーデスの診断基準にも含まれる。
抗Sm抗体陽性の全身性エリテマトーデスの特徴として、遅発腎症が知られている。
抗Sm抗体陽性例では、初診時に尿蛋白が陰性であっても、経過中に持続性たんぱく尿の出現が抗Sm抗体陰性例に比べて多い。
引用参考文献
・SLEの診断基準(アメリカリウマチ協会、2019年改訂)