最終更新日 2018/01/16

抗核抗体

抗核抗体とは・・・

抗体(こうかくこうたい)とは、細胞の核構成成分に対する自己抗体の総称である。

 

染色タイプ別・自己抗体と関連疾患

通常は、間接蛍光抗体法により測定され、染色状態で以下のように分類される。代表的な抗核抗体のタイプは以下の通りである。

 

(1)均等型

主な自己抗体は抗ヒストン抗体で、関連疾患は薬剤誘発性ループスなどである。

 

(2)辺縁型

主な自己抗体は抗二本鎖DNA抗体で、関連疾患は全身性エリテマトーデスである。

 

(3)斑紋型

抗Sm抗体は全身性エリテマトーデスに、抗SS-B抗体はシェーグレン症候群に、抗Scl-70抗体は強皮症に、それぞれ関連する。

 

(4)核小体型

主な自己抗体は抗U3RNP抗体で、関連疾患は強皮症である。

 

(5)散在斑紋型

主な自己抗体は抗セントロメア抗体で、関連疾患は強皮症である。

 

スクリーニング検査としての抗核抗体検査

健常人の約4分の1が陽性となるといわれているが、多くは160倍未満の低抗体価である。一方で、膠原病患者の大部分は160倍以上の高抗体価を示す。そのため、膠原病のスクリーニングとして利用されている。

 

しかし、抗核抗体が陰性でも膠原病を否定することにはならないため、注意が必要である。逆に、抗核抗体が軽度陽性であっても膠原病を示唆することにはならず、臨床的意義は乏しい。

 

抗核抗体が影響しない膠原病

抗核抗体が診断に影響しない膠原病も存在する。血管炎、血清反応陰性脊椎炎、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病、成人スチル病などである。

 

抗核抗体が関与する膠原病

抗核抗体が関与する膠原病としては、全身性エリテマトーデス (SLE)、全身性硬化症 (SSc)、シェーグレン症候群 (SS)、皮膚筋炎 (DM)、多発性筋炎(PM)、混合性結合組織疾患 (MCTD) などが挙げられる。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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