最終更新日 2019/12/23

ベーチェット病

ベーチェット病とは・・・

ベーチェット病(べーちぇっとびょう、Behcet's disease)とは、炎症反応の反復により全身の臓器が障害され、さまざまな臨床症状を示す難治性の疾患である。

他の膠原病とは異なり、特異的な自己抗体は発見されていない。
好発年齢は20~30歳代で、発症に性差はないが男性の方が症状の重い場合が多い。本邦でも有病率の高い疾患となっている。

病因は明らかでない。一説では、HLA-B51陽性などの内因要素に微生物の感染などの外的因子が重なって発症すると考えられている。自然免疫の異常(好中球の機能亢進など)が病態形成に関与している。

【症状】
主症状
(1)ぶどう膜炎:虹彩毛様体炎、網脈絡膜炎、前房蓄膿などが見られる
(2)口腔内アフタ性潰瘍:初期症状として見られること多い。再発を繰り返す
(3)外陰部潰瘍:有痛性で再発を繰り返す
(4)皮膚症状:結節性紅斑や毛嚢炎様発疹などが見られる

副症状
(1)中枢神経病変:急性型の場合、髄膜炎幹型で一過性に経過する。慢性型の場合、多彩な症状が出現し、後遺症を残す報告が多くある
(2)関節炎:約半数に見られ、大関節(肘や膝など)に疼痛を生じる
(3)消化器症状:代表的なのは回盲部に好発する潰瘍
(4)精巣上体炎
(5)血管病変:中血管~大血管が侵される(炎症性血栓症など)。病変が起こる血管は、動静脈どちらともあるが、静脈が比較的多い

症状の組み合わせによって、「完全型」と「不完全型」に大別される。
完全型:上記の主症状が4つ全て揃っているもの
不完全型:以下の三通り
(1)3つの主症状が見られるもの、(2)2つの主症状と2つの服症状が見られるもの、(3)定型的な眼症状に加えて1つの主症状、または2つの副症状が見られるもの

【検査・診断】
特異的検査がないことから、診断は臨床症状の組み合わせで行う。皮膚の針反応陽性も診断の手がかりとなる。

【治療】
増悪因子は疲労、ストレス、寒冷、外傷、感染などがある。患者にはこれらを避けるように指導することが重要である。症状によって、ステロイド、コルヒチン、免疫抑制剤、NSAIDs、生物学的製剤などを用いる。

執筆: 神谷侑画

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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