関節リウマチとは・・・
関節リウマチ(かんせつりうまち、rheumatoid arthritis;RA)とは、免疫機構の異常によって関節の内側にある滑膜と呼ばれる部分に炎症が生じ、関節の腫れや疼痛が引き起こされ、それが持続することで関節の変形を来す疾患である。
病態・原因
関節症状の病態は、免疫機構の異常により、リンパ球やマクロファージが産生するサイトカインが関節内の滑膜に炎症反応を引き起こす。これにより関節の内面を覆っている滑膜細胞が増殖し、痛みや腫れを起こす。また、関節内に及んだ炎症は軟骨や骨も破壊し、関節の変形を引き起こす(図1)。
図1正常な関節と、関節リウマチの関節
関節リウマチの原因はまだよく分かってはいないが、細菌やウイルス感染をきっかけに身体の免疫系に異常が生じて、自分の体を攻撃する状態になることで生じると考えられている。そこには遺伝的要因も関与しているといわれている。
症状
両手足の指の関節の腫れや痛みで始まることが多い。指の腫れは朝に強く現れ、手足がこわばるようになる。その後、関節症状は手関節や膝など体の中心に近い部分の大きな関節にも起こるようになる。関節の炎症が続くと、関節の変形が見られるようになる。手足に変形を認めることが多い。
関節リウマチは、関節以外にも症状を来す疾患である。関節以外の症状として、間質性肺炎や貧血、発熱などのさまざまな症状を呈する。
検査・診断
関節リウマチの診断には、2010年にアメリカリウマチ学会(ACR)とヨーロッパリウマチ学会(EULAR)が合同で発表した関節リウマチ分類基準を用いて行う。
この基準は、これまで利用されていた1987年にアメリカリウマチ学会(ACR)から発表された関節リウマチ診断基準よりも、早期に関節リウマチを診断することが可能である。その代わり、関節リウマチと似た症状を認めるほかの疾患との鑑別が重要となっている。
治療法
関節リウマチの治療は薬物療法が基本となる。
中心となる薬物は抗リウマチ薬(DMARDs)と非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)であり、診断後できるだけ早期に導入し、骨や軟骨の破壊進行の抑制を目指す。症例によってはステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤が用いられる。1)
変形してしまった関節は元には戻らないため、日常生活に支障が出たり炎症が激しかったりする場合は、変形した関節を人工関節に置き換えるなどの外科手術が行われることがある。