室温など、測定環境に注意するのはなぜ?|血圧測定
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は血圧測定における環境に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
血圧測定時、室温など測定環境に注意するのはなぜ?
血圧を変動させる因子をできるだけ少なくするためです。
室温、体位、食事、入浴、運動、精神的興奮、飲酒や喫煙など、血圧値を左右する因子はたくさんあります。
室温は少なくとも20℃以上に保ちます。皮膚の血管は気温によって収縮や拡張を起こし、暖かい時には血圧が低下し、寒い時には血圧が上昇します。
体位によっても、血圧は変動します。収縮期血圧は、一般に立位、座位、臥位の順で高くなり、拡張期血圧は立位、座位、臥位の順で低くなります。体位を変換した直後も血圧は変動し、臥位から座位あるいは立位にした直後は低くなります。
一般に食後は、消化や吸収などの代謝の亢進によって心拍出量と循環血流量が増加し、収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧は低下します。食後30分あるいは1時間くらい経ってから測定すると、安定した値を得ることができます。運動によっても血圧は左右され、循環血液量が増えると収縮期血圧が上昇し、反対に末梢血管が拡張して拡張期血圧は低下します。
入浴は、湯の温度が高かったり、冷たいシャワーを浴びたりすると反射的に皮膚の末梢血管が収縮して血圧が上昇します。入浴によって血液の循環がよくなると血管が拡張して血圧は下がってきます。
正確な測定値を得るためには、測定環境に注意し、血圧の変動要因を減らすようにすることが大切です。
日本高血圧学会が2014年に提示した血圧の分類を以下に示しました。頭痛や動悸、嘔吐など自覚症状がある場合は、血圧値が上昇している可能性があります。高血圧になると合併症のリスクも高くなる場合もあるため、アセスメントしていく必要があります。
血圧計の種類と特徴
臨床で最も一般的に用いられているのが電子血圧計ですが、ほかにもいくつかの種類があります。それぞれの特徴を知っておくことも大切です。
電子血圧計
腕帯(わんたい)やマンシェットのマイクロフォンや振動を利用して測定する仕組み。操作が安易なので家庭用として多く用いられていますが、臨床でも使われています。
アネロイド式血圧計
水銀を用いずに目盛りで表示する仕組みです。低血圧やショック時に触診法で使用します。血圧計のマンシェットを巻き空気を送り、?骨動脈や正中皮動脈の触知を確認し、マンシェットの空気を抜き減圧しながらコロトコフ音のスワンの第1点と第5点を聞き、収縮期血圧と拡張期血圧を測定する方法です。救急車の中や在宅などで用いられます。
自動電子血圧計
いわゆるベッドサイドモニタです。手術後や継続的に血圧測定が必要な場合に使用します。血圧値のほか、心拍数、VPC数、STレベル、呼吸数、観血血圧値(最高、最低、平均)、SpO2値、脈拍数、体温、心拍出量、呼気終末CO2分圧、BISなど計測されます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版