測定時、首を曲げたり回したりしてはいけないのはなぜ?|脈拍測定
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は脈拍測定の禁忌に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
測定時、首を曲げたり回したりしてはいけないのはなぜ?
首を曲げたり回したりすると鎖骨が後下方に引っ張られ、鎖骨下動脈が圧迫されて橈骨動脈まで脈波が伝わらなくなることがあるためです。
また、前斜角筋(ぜんしゃかくきん)による鎖骨下動脈の圧迫が生じることもあります。特に脈波が伝わりにくくなるのは、首を曲げた側の末梢部にある橈骨動脈です。
このほか、血管の炎症や血栓、塞栓(そくせん)形成によって動脈の内腔が極端に閉塞した場合や、橈骨動脈の走行異常などがあると、橈骨動脈の触診で脈拍が触れにくくなります。また、急性心不全や僧帽弁狭窄症、低血圧、高度の貧血、大量出血などでも脈拍の緊張度が低下し、脈拍が触れにくくなることがあります。
橈骨動脈の脈拍が触れにくい場合は、患者が掌を握ったり広げたりする動作を10~15回程度繰り返し、その後に触診をすると容易に行えることがあります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版