胆汁は再利用されるって本当?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「胆汁」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
胆汁は再利用されるって本当?
胆汁(たんじゅう)は肝臓でつくられ、総胆管を経て十二指腸へと送られます。1日の分泌量は約800mLです。
胆嚢(たんのう)は、胆汁を貯留する器官ですが、容量が約50mLしかないため、濃縮して貯蔵します。胆汁は食物のなかの脂肪に反応して十二指腸へ排出されます。食後1時間ほどで胆汁の分泌が始まり、2~5時間後に分泌量は最高になります。
胆汁はアルカリ性で、電解質溶液に胆汁酸や胆汁色素が溶け込んでいます。胆汁は脂肪の消化・吸収を促進し、膵液と共同して働きます。胆汁は小腸内の脂肪滴を乳化し、また膵液中のリパーゼは脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解します。
脂肪の消化、吸収という役目を果たした胆汁は、一部が便や尿として排泄されますが、90~99%は小腸の下部で吸収され、門脈を通って肝臓に戻ります。そして、再び胆汁として分泌され、胆嚢に蓄えられます。こうして胆汁が再利用されることを腸肝循環(ちょうかんじゅんかん)といいます。
MEMO胆汁(たんじゅう)の色素
胆汁の色素はビリルビンです。ビリルビンは脾臓で破壊された赤血球のヘモグロビンが分解されたもので、黄褐色をしています。黄疸(おうだん)とは、ビリルビンが血液中で増加した状態です。
MEMO胆石(たんせき)
胆汁のコレステロールやビリルビンが結晶化し、胆嚢や胆道に結石が生じた疾患が胆石症です。コレステロールを主成分とするコレステロール胆石、ビリルビンを主成分とする色素胆石などがあります。
※編集部注※
当記事は、2016年9月12日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版