膵臓からの消化液はオールマイティ?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「膵液」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
膵臓からの消化液はオールマイティ?
膵臓は、2つの面を持つ臓器です。1つはランゲルハンス島と呼ばれる内分泌部であり、もう1つは膵液を分泌する外分泌部です。
消化・吸収に関係するのは外分泌部です。膵臓から分泌される膵液は、消化液のなかで最も重要であるといわれています。1日の分泌量は約500〜800mLで、pH7〜8の弱アルカリ性です。
膵液には電解質と消化酵素が含まれています。電解質は膵液を弱アルカリ性に保ち、消化酵素は胃から送られてきた内容物をさらに消化します。
膵液の主な消化酵素は、タンパク質分解酵素であるトリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、糖質分解酵素である膵アミラーゼ、脂肪分解酵素である膵(すい)リパーゼなどです。
つまり、膵液には三大栄養素を分解するすべての消化酵素が含まれているのです。膵臓からの消化液がオールマイティと呼ばれるのは、このためです。
膵液の分泌は脳相(過去の記憶による分泌)と腸相に分けられますが、中心的な役割を果たすのは腸相です。酸性の胃内容物が十二指腸に送り込まれると、酸が粘膜を刺激して局所ホルモンのセクレチンが放出され、これによって大量の膵液が分泌されます。
MEMO内分泌と外分泌
分泌された物質が作用する部位まで、導管によって導かれている場合を外分泌といい、導管がなく腺から直接、血中に分泌される場合を内分泌といいます。
[次回]
⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版