脂肪はどのように消化されるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「脂肪の消化」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
脂肪はどのように消化されるの?
食物から摂取する脂肪の多くは中性脂肪です。中性脂肪はグリセロールという糖質に脂肪酸が3つ結合し、中性脂肪(トリグリセリド)とよばれています。
この中性脂肪の消化にかかわる消化酵素が、膵液中のリパーゼです。しかし、リパーゼはタンパク質でできた水溶性の消化酵素で、消化する対象の脂肪は水と混ざり合わないという問題があります。そこで登場するのが胆汁(たんじゅう)です。
胆汁は石鹸と同じ働きをします。手を洗うときに石鹸をつけると、汚れがきれいに落ちます。このとき、石鹸は水に溶けない手の汚れを、ごく小さな粒子にして包み込んでしまいます。そして、それらの粒子があたかも水に溶けているかのようにします。このような働きを界面活性作用(かいめんかっせいさよう)といいます。
食物として送られた脂肪は、胆汁の界面活性作用によってあたかも水に溶けたような状態になり、水溶性消化酵素であるリパーゼの作用を受けることができます。その結果、中性脂肪はグリセロールと遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)にまで分解されます。
※編集部注※
当記事は、2016年9月19日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版