最終更新日 2018/07/23

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは・・・

アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん、atopic dermatitis)とは、増悪・寛解を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患である。患者の多くはアトピー素因を持つ。

 

原因

IgE産生能の亢進や皮膚バリア機能の低下(セラミドの低下、フィラグリン遺伝子異常)などの遺伝的素因に加え、アレルギー機序・環境要因・ドライスキンなどが複雑に絡み合い発症する。
幼児期~思春期に多く発症し、冬~春にかけて増悪することが多く、アトピー性疾患の既往・家族歴を有する人に発症する。他のアレルギー性疾患(気管支喘息やアレルギー性鼻炎)を併発することが多い。

 

症状

皮疹の分布は左右対称性で、前額、眼囲、口囲・口唇、介周囲、頸部、四肢関節部、体幹などに好発する。年齢とともに増悪・寛解を繰り返しながら湿疹の特徴と分布が変化する。乳児期は頭部や顔面にびらん痂皮が付着した浸潤性紅斑局面が形成され、その後、体幹や四肢に拡大する。幼小児期には、頸部、肘窩、膝窩などのアトピー性皮膚炎に最も特徴的な部位に皮疹が出現するようになる。思春期・成人期には顔面、頸部、胸部などに皮疹が目立つようになる。注意すべき合併症として、白内障や網膜剥離などの眼症状がある。

 

診断

1994年に策定された日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」(2008年追加改訂)に基づき、1)掻痒、2)特徴的皮疹と分布、3)慢性・反復性経過の3項目を満たすものを、症状の重症度を問わずアトピー性皮膚炎と診断する。

 

検査

検査としては血液検査にて末梢血好酸球上昇、血清IgE上昇、血清特異的IgE抗体検査がある。血清TARC値は病勢を鋭敏に反映し、重症度の指標であるとされている。

 

治療

治療としては以下のものが挙げられる。
(1)原因・悪化因子の検索・除去対策
(2)保湿薬を用いたスキンケア
(3)湿疹病変に対する薬物療法(ステロイド外用薬や免疫抑制外用薬)

執筆: 佐々木 朗

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター小児救急フェロー

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