最終更新日 2018/02/21

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは・・・

アレルギー炎(あれるぎーせいびえん、allergic rhinitis)は、発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉を3徴とする、アレルギー反応で生じる鼻炎のことである。アレルギーの原因となる抗原(アレルゲン)に一定期間、曝露されることで生じるI型アレルギー疾患である。

 

花粉による季節性アレルギー性鼻炎と、ダニやハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎がある。

 

アレルギー性鼻炎は、家族歴やほかのアレルギー疾患の病歴(アトピー性皮膚炎蕁麻疹喘息など)があるアトピー素因を持つ人に発症するのが一般的である。鼻炎患者の約40%に喘息症状を認める一方で、喘息患者の約70%に鼻炎が併発する。上気道疾患のアレルギー性鼻炎と下気道疾患の喘息が病態的に相互に関連していることをOne airway one disease と呼ぶ。

 

症状

発症の若年齢化が進んでおり、症状は30代までに現れるのが一般的であり、加齢とともに軽減する傾向があるが、完全に自然寛解することはまれである。

 

検査

アレルゲンに対する抗原特異的IgE測定、皮内テスト、スクラッチテストを行い感作抗原の同定を行う。さらに抗原誘発試験を行い、実際の抗原曝露下で症状や鼻汁中への好酸球を確認する。

 

治療

『鼻アレルギー診療ガイドライン2016』では、症状により鼻閉型とくしゃみ・鼻漏型の2つのタイプに分類し、それぞれをさらに軽症、中等症、重症・最重症の3つの重症度に分類して、薬剤を選択・併用していくものとなっている。

 

いずれのタイプと重症度においても治療の基本は、原因抗原の除去・回避であり、アレルゲン免疫療法(後述)を考慮することとなっている。

 

薬物療法は、軽症では非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬または点鼻ステロイド薬を主とする単剤で治療を開始する。症状に応じてこれら2剤や抗ロイコトリエン薬等を併用していく。中等症以上では第2世代抗ヒスタミン薬と血管収縮薬の配合薬も選択肢となる。鼻閉や喘息合併例では抗ロイコトリエン薬が有効である。重症例では短期ステロイド内服治療を行うこともある。

 

アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy:AIT)は、病因アレルゲンを繰り返し投与することにより、アレルゲンに曝露された場合に起こる関連症状を緩和する治療法である。3年以上の長期治療が必要である。症状の軽減、薬物の減量、さらには完全寛解が期待され、新規アレルゲン感作の抑制や小児アレルギー性鼻炎患者の後の喘息発症頻度の抑制効果も認められている。

 

アレルゲン免疫療法には、注射による皮下免疫療法(SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)がある。皮下免疫療法は頻回な通院が必要であり、時にアナフィラキシーを起こしうる。

 

舌下免疫療法は自宅で実施可能であり、全身性の副作用が少ないことから、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎に対して積極的に治療が行われるようになった。

執筆: 佐々木 朗

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター小児救急フェロー

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