最終更新日 2018/04/26

クローン病

クローン病とは・・・

クローン病(くろーんびょう、Crohn's disease)は腸粘膜にびらんや潰瘍を形成する炎症性腸疾患の一つである。

 

疫学

病変は消化管のどの部位(口腔から肛門まで)にも起こり得るが、回盲部に好発し、非連続性の病巣形成(skip lesion)および全層性炎症となることが特徴的である。10歳代後半から20歳代の若年者に好発して、やや男性に多いとされている。

 

症状

腹痛(特に右下腹部痛)、下痢、発熱、体重減少などの主症状が認められる。また、クローン病は肛門部病変(肛門周囲膿瘍、痔瘻)を合併することが高頻度であり、ほかに関節炎虹彩炎、結節性紅斑などの腸管外合併症も起こり得る。血液検査では貧血、CRP上昇、赤沈上昇などが認められる。

 

診断

臨床像に合わせて画像、特に内視鏡検査での特徴的所見を認めることが診断に有用とされる。内視鏡所見としては、縦走潰瘍(長軸方向に4~5cm以上の長さを有する潰瘍)や敷石像(cobblestone appearance)、アフタ・不整型潰瘍などが重要である。また、内視鏡で病変部の生検を行い、病理学的に非乾酪性肉芽腫の形成を認めることも診断に有用となる。

 

治療

栄養療法と薬物療法を組み合わせて寛解導入とその維持を行うことが基本となる。栄養療法としては一般的に低脂肪・低残渣食が薦められているが、症例に応じた栄養療法を行う。薬物療法としては5-ASA製剤(メサラジン)、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬などの内服薬が用いられる。また、これらの治療に反応しない場合は抗TNFα製剤が使用される。

 

高度狭窄、消化管穿孔、膿瘍などの合併が起きた際には外科的加療の適応となる。

執筆: 大久保祐希

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科フェロー

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