最終更新日 2018/12/14

下腹部痛

下腹部痛とは・・・

下腹部痛(かふくぶつう、lower abdominal pain)とは、下腹部の痛みである。

 

原因

下腹部痛の原因は、腸管・大血管・子宮・卵巣病変など、多岐にわたる。

 

診断

腹痛を見た際は、まず、痛みの性状や程度、持続時間や増悪・寛解因子、随伴症状、発症様式を問診で確認する。次に身体診察を行う。身体診察では圧痛・反跳痛・筋性防御の有無を確認する。筋性防御がある際は、外科的介入が必要な腹痛の可能性が高い。

 

一方で、腹部所見が乏しいが痛みの程度が強い場合にも、血管病変や内ヘルニアなど、緊急性の高い疾患の可能性もあるため、注意が必要である。また、腹痛を来す腹腔外や全身疾患もあるため、腹部のみでなく全身をしっかりと診察することが重要である。

 

女性の突然生じる下腹部痛では、卵巣腫瘍の茎捻転がしばしばみられるが、下腹部痛に不正性器出血が随伴する場合は、他の婦人科疾患の可能性も考えなければならない。妊娠反応で陽性の場合には、緊急対応を要する異所性妊娠を念頭において診察を進める必要がある。

 

検査

腹痛の診断に特異的な血液検査はないが、炎症の程度や貧血の進行がないかなど補助診断に使用することは可能である。画像検査としては、エコーやCT検査がある。エコー検査は低侵襲で、何度でもベッドサイドで繰り返し行うことができるのがメリットであるが、術者の技量に診断の正確性が依存する点がデメリットである。一方でCT検査は、被曝リスクや造影剤の侵襲はあるが、他の疾患を除外したり、情報共有したりできるため、客観的診断の感度は高い。妊娠可能年齢における婦人科疾患検査の場合には、被爆リスクのないMRI検査が有用であることが多い。

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