異所性妊娠とは・・・
異所性妊娠(いしょせいにんしん、ectopic pregnancy)とは、かつて子宮外妊娠とも呼ばれ、その96%は卵管妊娠であり、その他、頸管妊娠や腹腔内妊娠、卵巣妊娠がある。
原因
異所性妊娠のリスクとしては、子宮内挿入物あり、異所性妊娠の既往などが挙げられる。宮内膜症や卵管狭窄・卵管炎などの炎症後の癒着が影響している場合もあるが、繰り返す異所性妊娠をみた場合には、器質的な異常がないか精査が必要である。
症状
妊娠初期の性器出血や腹痛のうち、異所性妊娠は少なくない。異所性妊娠の最も多い主訴は、妊娠初期の不正性器出血や腹痛である。正常妊娠と同様に嘔気や乳房の張りは、異所性妊娠でもみられる。
また、異所性妊娠が破裂した場合は、腹腔内に大量出血を引き起こし、短時間で出血性ショックに至り、容易に生命が危険な状態に陥る場合がある。
診断
診断には、妊娠週数に照らし合わせたhCG値と推移、存在部位の特定や腹腔内出血の評価には、経腟エコーや骨盤MRI検査が用いられる。hCGは、血中と尿中検査があるが、迅速かつ推移をみるには血中測定を行い、連続測定して上昇の度合いを確認する必要がある。48時間で35%、72時間で50%以上の上昇があれば、破裂のリスクを考え、外科的治療を含めた治療を検討する。検査としては、いつでも緊急手術できる態勢を整えた上で、貧血の進行や下腹部痛の増悪の有無とバイタルチェックを行う。
治療
自然流産に至る場合もあるので、全例積極的な治療を要するわけではないが、血中hCGが上昇を続ける場合には、治療が検討される。保存的治療として、一定条件下で抗がん剤の一種であるメトトレキサート(保険外治療)を用いた薬物治療が適応となる場合がある。
外科的治療としては、腹腔鏡下手術が汎用され、最も多い卵管妊娠では、患側卵管切除や開窓術などがある。