ストーマ造設後に受けられる社会保障はあるの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ造設後に受けられる社会保障について解説します。
ストーマ造設後に受けられる社会保障はあるの?
手術により異なりますが,身体障害者手帳の交付により可能になる保障と,疾患や障害,入院などにより可能となる保障や助成制度があります.
ただし,一時的なものとして造設されたストーマについては対象になりませんのでご注意ください.
解説
永久的なストーマを造設した方は身体障害者手帳の申請を行うことで,ストーマ装具などの購入費をはじめ,さまざまな支援を受けることが可能です.身体障害者手帳の申請は手術直後から可能ですので,術前から申請の準備をすすめておきましょう.
身体障害者手帳には等級があり,永久的なストーマを1つ造設した場合は4級の身体障害者手帳が交付されます.ストーマ造設術から6カ月経過後の状態によっては,1級や3級に変更申請ができることもあります(表1).
表1「ぼうこう又は直腸の機能障害」程度等級表
身体障害者手帳が交付されると,日常生活用具(表2)として,ストーマ用装具の給付を受けることができます.
給付額は採便袋の場合1カ月8,858円,採尿袋の場合1カ月11,639円としている自治体が多いようですが,異なる場合もありますので,申請窓口で確認するようにしましょう.
日常生活用具費以外で受けられるサービスには,
①税金の控除・免除
②交通運賃の割引
③各種公共料金の減税
④就学助成
⑤年金・手当
⑥介護支援
⑦ 医療(更生医療・重度障害者医療費の助成など)
があります.
知っておこう!身体障害者手帳申請の概要
・申請できる時期:ストーマ造設の直後から可能.
・申請窓口:居住地域の障害福祉課
・申請手続き:申請窓口で身体障害者手帳
申請用紙と身体障害者診断用紙(膀胱・直腸用)を受け取ります.
身体障害者診断用紙は,手術を受けた病院の指定医に記入してもらいます.
必要書類が準備できたら,居住地域の障害福祉課に提出します.地域により異なりますが,交付には約1~2カ月要します.
身体障害者手帳が交付されたときに,交付券の申請を行い装具を購入できるチケットを支給してもらいます.
その際には,ストーマ装具販売店から装具代の見積書を取り寄せ,源泉徴収票または確定申告書と合わせて,障害福祉課の窓口に提出します.
そして,交付券と引き換えにストーマ装具の受給を受けますので,交付券が残っても現金での支給は一切ありません.
[Profile]
松田 貴子 まつだ・たかこ
星ヶ丘厚生年金病院看護局看護係長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行