自分で装具交換できない患者への装具交換の指導は誰にするの?|ストーマ術後ケア
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、患者へのストーマ装具交換の指導について解説します。
自分で装具交換できない患者への装具交換の指導は誰にするの?
装具交換の指導は本人や本人の家族に行うことが基本です.
しかしながら,独居の高齢者などで実践が不可能な場合においては,ストーマケア管理としてケアサポートの体制を整えていく必要があります.
手術直後の退院の場合は訪問看護師がその役割を担うことが多いでしょう.
解説
ストーマ造設術を受けた患者にとってのストーマ装具交換は,日常ケアとして必要不可欠です.
装具交換の際は,まず患者自身が装具交換手技のどの行程が実践できないのか確認します.指導する対象者の状況に応じて,粘着剝離剤や洗浄剤など本人に合ったストーマケア用品を選択し,できるだけシンプルなケアを指導することで実践が可能となることもありますので,ケア方法の検討も行いましょう.
また,「妻にはストーマを見られたくない」と思っている人もいるかもしれないので,ケアの主体となる本人やキーパーソンの思いを確認し,ケア指導の対象者を把握しておくことが大切です.
しかしながら,キーパーソンがおらず自己でのケアが困難な場合は,訪問看護などケアサポートの導入を検討していきます.退院までに,ストーマケア方法の情報提供やトラブル時の相談窓口を明確にして連携し,継続してサポートしていけるよう体制を整えていく必要があります.
退院後のストーマケアに関する相談窓口として,ストーマ外来を利用されることが多いでしょう.
ストーマ外来とは,オストメイトが普通の生活をめざし,それを維持するために,個別的に専門的なケアを継続する外来です.対象者の生活の場で実際にストーマケアを提供している訪問看護師との情報交換も重要になるので,近隣で利用できるストーマ外来の情報を提供しておくとよいでしょう.
知っておこう!医行為からはずれたストーマケア
2011(平成23)年7月5日厚生労働省より,ストーマケアの実施にあたり医師・看護職員との密接な連携を図れば医行為に該当しないとした通達がありました.
これにより専門的な管理を必要としないストーマの装具交換は医行為からはずれ,医師や看護師以外による装具交換が可能となりました.つまり,術直後や合併症を伴わないストーマケアについては医師や看護師以外でも可能になっています.
[Profile]
松田 貴子 まつだ・たかこ
星ヶ丘厚生年金病院看護局看護係長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行